ホルムズ海峡付近で起きたタンカー攻撃から見た中東情勢
(VOVWORLD) - 先週、中東のホルムズ海峡に近いオマーン湾で、2隻のタンカーで爆発や火災が起きました。先月も、この地域では4隻が攻撃されたばかりでした。13日に攻撃されたタンカーのうち1隻は石油を、もう1隻は化学薬品を輸送していました。
これらの攻撃について、アメリカのポンペオ国務長官は、収集された情報に基づいて、イランの責任だとして非難していますが、裏付けとなる証拠は明らかにしていません。
一方、14日、アメリカのトランプ大統領もイランを非難しました。これに対して、イランは関与を否定していましたが、原油輸送の要衝である同海域での緊張の高まりが懸念されています。
また、国連のグテーレス事務総長は13日の安全保障理事会の会合で、「民間の船に対するあらゆる攻撃を強く非難する」と述べました。「事実を追求し、実行犯を明らかにしなければならない」と強調して、状況を注視する構えを示しました。
安保理は同日午後、別途タンカー攻撃に関する非公開の特別会合を開き、対応策などを話し合うという情報も出ました。グテーレス氏は、「世界が許容できない事実があるとすれば、湾岸地域における衝突だ」とも述べ、中東の地政学リスクが高まっている現状を憂慮しました。
この他、中国や、EU=欧州連合などは関係各側に対し自制を呼び掛けています。これに対し、ドイツのマース外相は、「状況がエスカレートすることは危険だ」とし、さらなる緊張を回避するよう関係国に自制を要求しています。ドイツ政府報道官は、「重要なのは事件の背景を徹底的に調査し続けることだ」と強調しました。さらに、ホルムズ海峡付近で起きたタンカー攻撃を巡り、欧州のイラン核合意当事国の間で対応が割れていると見られています。
今回の攻撃は安倍晋三首相のイラン訪問中に発生しました。安倍首相とトランプ大統領はこの日、電話会談を行い、タンカー攻撃への対応などを巡り、協議しました。