ビンロウの葉鞘による食器の製造

(VOVWORLD) -5年前、現地住民がビンロウの葉鞘を燃やしている様子を見たトゥエンさんは、あまりにももったいないと思い、葉鞘を何か有用な製品に加工できないかと考えるようになりました。
 ビンロウの葉鞘による食器の製造 - ảnh 1トゥエンさんとビンロウの葉鞘

中部クアンガイ省在住のグエン・バン・トゥエンさん、41歳は、廃棄されるはずだったビンロウの葉鞘をボウルや皿、弁当容器などに再生利用し、韓国、カナダ、ポーランド、アメリカなどに輸出する業者として知られています。ビンロウの葉鞘とは、葉の基部が鞘状になり、茎を包む部分です。この事業は、地域住民に安定した雇用を創出するだけでなく、環境保全にも貢献しています。

クアンガイ省はビンロウの産地として有名で、主にソンタイ県とギアハイン県の面積2000ha余りの土地でビンロウが栽培されています。通常はビンロウの実だけが販売するために収穫され、あちこちに落ちているビンロウの葉鞘は廃棄物と見なされ、経済的な価値はありませんでした。
しかし5年前、現地住民がビンロウの葉鞘を燃やしている様子を見たトゥエンさんは、あまりにももったいないと思い、葉鞘を何か有用な製品に加工できないかと考えるようになりました。それから、インターネットで検索し、インドにビンロウの葉鞘から作られる環境に優しい製品があることを知り、2019年末にギアハン県に生産工場を建設することにしました。

トゥエンさんは次のように明らかにしました。
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「私にとって、ビンロウの葉鞘は廃棄物ではなく、活用次第で有用な製品になります。葉鞘は幼い頃から身近な存在であり、団扇や水汲み道具として使われていました。食器への応用を思いつき、研究開発に至ったのです」
トゥエンさんは原材料を得るために、地元民からビンロウの葉鞘を買い取ることにしました。彼によりますと、ビンロウの葉鞘が落ちるのは3月から10月までの時期で、平均して栽培地1haあたり年間約1万2500枚の葉鞘が得られるそうです。
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「住民からの買い取りを円滑にするため、集荷拠点を設け、工場への輸送体制を確立しました。また、製造機械は海外から輸入しました。現在は葉鞘から食器を製造しています」
集めたビンロウの葉鞘は、きれいに洗い、柔らかくなるまで水に浸します。その後、乾かしてから熱プレス機に入れて、ボウルや皿、レンゲ、スプーン、食品トレーなど様々な形やサイズに成型します。成型時は型に入れて80~120度の温度で40秒間プレスします。こうした方法により顧客の要望に応じて様々な型を作ることができ、多様な形にプレスし、製品に絵柄を印刷することもできます。

 ビンロウの葉鞘による食器の製造 - ảnh 2 ビンロウの葉鞘による食器

完成した食器は、紫外線照射装置で殺菌してから梱包し、規格検査を経て市場に出荷されます。製品は耐久性と防水性を備え、食品、果物、調味料などを収納でき、電子レンジでの使用も可能です。

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「葉鞘は耐久性に優れ、製造過程で化学物質を使用せず、温冷食品や液体に対応し、電子レンジでも使用できる点が、他の製品にない利点です」
2020年、トゥエンさんはビンロウの葉鞘で作った製品をハノイとホーチミン市での展示会に出展して紹介したところ、瞬く間に注目を浴び、多くの顧客から注文を受けました。特に、ある航空会社は、ビジネスクラスの機内食の食器として活用するため、ボウルと皿の購入契約を結びました。
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「ホーチミン市とハノイ市の展示会に出展しました。また、電子商取引サイト上でも製品の販売を行っています」
この成功を受けて、2021年半ばに、トゥエンさんは生産規模を拡大しました。現在、彼の工場では10~12人の現地住民の雇用を創出しており、労働者の収入は1日あたり20万~24万ドン、約1130~1350円となっています。工場はまた、ボウルや皿、食品トレーなどのビンロウの葉鞘で作った製品を毎月平均50万点ほど市場に出荷しています。消費者は製品の安全性に高い信頼を寄せています。
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「環境に優しい食器を探していたところ、葉鞘で出来た製品を選びました。これらの製品は、品質が良く、顧客の評判も良かったからです。天然素材で、食品包装にも適しています」
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「葉鞘で出来た食器は軽量で環境に優しく、価格も手頃です。多くの観光客は、私の観光施設で、これらの製品を使用した後、土産物として購入しました」
ビンロウの葉鞘でできた製品の価格は1点あたり1000~4000ドン、約6~24円で、再利用が可能です。特に環境に優しい製品であるので愛用されています。これまでに、トゥエンさんの葉鞘でできた製品は、アメリカ、カナダ、オランダ、韓国、シンガポール、中国に輸出されており、工場の売上高は毎年20億ドン、約1127万円を超えています。

トゥイエン氏は、葉鞘に加え、海岸に自生する樹木の葉からも食器を製造しています。今後は、製品価格の引き下げに取り組み、より多くの消費者に提供したいと考えているようです。

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