クメール族の伝統音楽の保存・発展に励むタチ・バクスさん

(VOVWORLD) -少数民族クメール族出身のタチ・バクスさんが伝統音楽と歩む道は、多くの困難と試練に満ちています。しかし、彼は音楽への愛と情熱によって、プロの演奏家になるべく、そして深い知識を身につけるべく、絶えず努力を続けています。これは、アーティストや専門家たちとともに、クメール族の伝統音楽を守り、広めていくためです。
クメール族の伝統音楽の保存・発展に励むタチ・バクスさん - ảnh 1タチ・バクスさん

賑やかなメロディーが特徴的な舞踏曲「Gác kèo ong(ガック・ケオ・オン、蜂の巣を設置する)」は、リスナーをカマウ省ウーミンハー森へと誘い、蜂を誘って巣を作らせるというユニークな職業に就く職人たちの足跡を辿らせます。この楽曲は、タチ・バクスさんが2022年の南部クメール文化スポーツ観光フェスティバルで金賞を受賞した初の楽曲作品となっています。その後、タチ・バクスさんは多くの賞を受賞しました。しかし、彼にとって重要なのは賞ではなく、日々どのように専門性を高め、クメール族の音楽を保存・発展させるためのアイデアを生み出していくかという点にあるようです。

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「これまでに、受賞作品も多くて、テーマを全ては覚えていません。私の任務は、曲をつけて編曲することです。完成した作品はチームに提出します。どの分野、どの職業にもプロとしての倫理観が必要です。芸術の世界で生きていくには、プロとしての倫理観が不可欠であり、それがなければ芸術は決して発展しません」

クメール族の伝統音楽の保存・発展に励むタチ・バクスさん - ảnh 22022年にカマウ省の大太鼓演奏芸術が国家遺産として認定されました。

クメール族の精神生活と信仰において、大きな太鼓は宝物と見なされており、2022年にはカマウ省の大太鼓演奏芸術が国家遺産として認定されました。

タチ・バクスさんは、この大太鼓演奏の遺産を保護する数少ない職人の一人です。彼は、登録申請書類を作成する際に、大太鼓演奏芸術の記譜者として重要な役割を果たしました。認定後も、タチ・バクスさんは研究を続け、他の職人たちとともにクメール族の精神生活における大太鼓の価値を保護し、発展させるために活動しています。

クメール族の伝統音楽の保存・発展に励むタチ・バクスさん - ảnh 3タチ・バクスさん

タチ・バクスさんは、1991年に生まれ、伝統楽器を奏でる家庭に育ちました。2005年、彼が中学校2年生の時、五つの音色を出す音楽の講座に参加しました。6カ月間の熱心な練習の結果、タチ・バクスさんとクラスメイトの楽団は村や近隣地域で演奏できるようになりました。多くの困難を乗り越え、現在、彼はカマウ省クメール芸術団の楽団長として活躍しており、クメール音楽、特に若い世代の音楽家たちの指導と発展にも尽力しています。

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「私にとって大変なことはチームメートがまだお互いを理解していないことなので、ゆっくりと鍛えなければなりません。この1年で、チームメートに変化があったと感じます。彼らが成長できるよう、私が少しでも変えることができたことを嬉しく思います」

伝統的音楽を巧みに操るだけでなく、タチ・バクスさんは現代の音楽理論にも精通しています。彼はホーチミン市音楽院で西洋楽器、特にサクソフォンを専攻しました。彼の目標は、基礎から応用まで音楽理論を習得することです。体系的な学習により、彼は人々の音楽レベルを向上させるための指導法を確立しました。西洋音楽理論を深く研究すればするほど、タチ・バクスさんは自民族の伝統音楽をより深く理解し、誇りに思うようになりました。
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「民族楽器を使い、音合わせや編曲を試みます。民族楽器の音色は、現代音楽や電子音楽とは全く違います。職人たちが直接演奏する音には及びません。彼らは演奏に魂を込めています」

空き時間には、タチ・バクスは丁寧に伝統楽器を制作しています。彼は自作の楽器の所有権を登録しました。彼の願いは、クメール族の人々が簡単に民族楽器を手に入れられるよう、制作工房を開設することです。
さらに、タチ・バクス氏はソーシャルメディアに積極的に動画を投稿し、作曲方法や楽器の使い方、クメール音楽に関する知識を教えています。愛と情熱、そして努力をもって、彼は他の職人、芸術家、音楽家たちとともに、クメール族の貴重な音楽遺産を守り、発展させたことにより、クメール族の魂を映し出す音色は、集落や村を越え、広く一般に届けられています。

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