人形を通して語るアーティスト、ズオン・ヴァン・ホック氏
(VOVWORLD) -84歳となった今もなお、彼は人形を介してベトナムの文化的アイデンティティを熱心に語り続けています。
アーティストのズオン・ヴァン・ホック氏(右) |
振付師から転身し、人形芸術に生涯を捧げたアーティスト、ズオン・ヴァン・ホック氏は、一人の演者が人形を操り、対話させ、そして自らも演じるという「一人遣い人形劇」の形式を創り上げました。84歳となった今もなお、彼は人形を介してベトナムの文化的アイデンティティを熱心に語り続けています。
ホック氏は、一人遣い人形劇という形式を確立したパイオニアです。この形式では、一人のアーティストが、人形の操作、対話、そして表現力豊かな物語を語るという複数の役割をすべて担います。彼の作品は、単なる娯楽に留まらず、素朴でありながらも奥深い人生哲学を内包しています。
ホック氏は次のように語りました。
(テープ)
「私にとって、あの人形たちは我が子同然です。どの子も大切で愛おしい。制作自体は複雑なものではありません。少し手先が器用であれば作ることができます。人形劇を見て人が泣くことは少なく、特に子どもたちは笑います。この基本的な特長をしっかり捉えることができれば、常にユーモラスで、子どもたちに親しみやすい人形を生み出すことができ、それが成功なのです」
アーティストのホック氏の事業における重要な節目は、1994年の全国人形劇フェスティバルに参加し、独演、脚本、演出の3部門すべてで金メダルを獲得しました。この成功により、彼はベトナムの一人遣い人形劇と共に世界に進出しました。以来、彼は45カ国で公演を行い、国内外で数多くの賞を受賞しました。この伝統芸能の力強い生命力と、新しい時代における交流・適応能力の証として、ベトナムの人形劇のイメージを世界各国に広めることに貢献しました。フランス、ロシア、韓国、タイ、ベルギー、ギリシャ、オランダなど、様々な国の観客が、彼の多くの独演作品を熱狂的に受け入れました。
今もなお、彼は公演旅行での思い出を忘れていません。ホック氏は次のように語りました。
(テープ)
「私は、元々振付師であり、舞踊家でもありました。かつて、バレエダンサーが『瀕死の白鳥』を演じるのを見て、とても感動しました。それをきっかけに、人形を作ることにしたのです。公演後、ある海外の観客が来て次のように言ってくれました。『私はバレエダンサーが演じるのを見ても泣かなかったが、あなたの操る人形を見て涙が出た』。彼らは500ドルの値をつけて買いたいと言いましたが、私は『ベトナムの芸術家は、友人を売ったりはしない』と言い、これらの人形は親友のように大切にしてきたからです。」
中部カインホア省ニャチャンにある彼の自宅には、約40m²の部屋が、ベトナムで唯一の現代一人遣い人形劇アートミュージアムに捧げられています。このミュージアムには、平たい人形、手遣い人形、糸操り人形、仮面人形、張り子人形など、約120体の大小様々な人形が展示されています。大半を占めるのは、動物やベトナム国内に住む各民族を象徴する人形で、これらはホック氏が数十年にわたり自ら制作し、国内外の45カ国で演じてきたものです。2024年末、ホック氏は、これらの人形の全コレクションをハノイ博物館に寄贈することを決めました。
2025年11月1日~16日に開催されたタンロン・ハノイ・フェスティバルにおいて、ハノイ博物館は、30点あまりの代表的な人形作品と資料を展示しました。ハノイ博物館に属するハノイ創造活動調整センター・のグエン・ティ・ゴック・ホア センター長は、次のように述べています。
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「アーティストのホック氏は、一人遣い人形劇の典型です。彼は複数の国の人形劇フェスティバルに参加し、公演を行い、多くの賞を受賞しました。彼の作品は、約40年にわたる芸術家としてのキャリアの中で創作され、デザインされ、制作されたものです。一つ一つの人形には物語があり、それぞれに意味と独自の創造性が表現されています。私たちは、ホック氏のその特徴と創造性に着目し、彼の作品を選び、展示することにしました」
アーティストのホック氏の人形たちは、これからも彼に代わって、ベトナムのユニークな一人遣い人形劇と、伝統的な人形芸術に生涯を捧げた芸術家の物語を語り継いでいくでしょう。