FRB、将来の利下げペース鈍化示唆 議長「夏に物価上昇」

(VOVWORLD) - パウエル議長は、トランプ政権による関税措置の影響で、今後かなりのインフレが見込まれるとの認識を示し、「モノのインフレが幾分上昇した」「夏にかけて一層表れる」と述べました。
FRB、将来の利下げペース鈍化示唆 議長「夏に物価上昇」 - ảnh 1アメリカ連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長、2025年6月18日、アメリカ・ワシントンD.C.で開かれた記者会見で発言する(写真:REUTERS/Kevin Mohatt)

アメリカ連邦準備理事会(FRB)は、17日から18日にかけて開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25~4.50%に据え置くことを決定しました。当局者は、年内に利下げが実施される可能性が高いとの見通しを示していますが、パウエル議長はこの見方に過度に依存すべきではないと釘を刺しました。

パウエル議長は、トランプ政権による関税措置の影響で、今後かなりのインフレが見込まれるとの認識を示し、「モノのインフレが幾分上昇した」「夏にかけて一層表れる」と述べました。

最新の金利・経済見通しでは、年末までに0.5%ポイントの利下げが実施されるとの中央値が示されました。一方で、「年内の利下げは不要」との見方を示した当局者は7人となり、前回3月の4人から増加しました。

また、2026年と2027年に関しては、それぞれ0.25%ポイントずつの利下げが見込まれており、経済成長の鈍化や失業率の上昇、物価上昇の加速といった厳しい見通しを踏まえ、今後の利下げペースが鈍化する可能性も示唆されました。

パウエル議長は、FRB当局者による金利見通しについて、「これら金利の道筋について、誰もが強い確信を持っているわけではなく、全てがデータ次第という点で一致している」と述べ、深読みを避けるよう求めました。

また、最近のインフレ指標が好ましい水準だったことから、「関税がなければ利下げが適切な可能性もある」と述べつつ、「誰もが今後数カ月で関税によるインフレ率のかなりの上昇を予想している。製造業者、輸出業者、輸入業者、小売業者の間で誰かが関税を負担しなければならない」「最終的に誰かが関税を負担せねばならず、その一部は最終消費者の負担になる」と指摘しました。

そのうえで「関税引き上げによるインフレの影響が実際にどうなるか把握するのに数カ月、あるいは必要な期間待った方が賢明でより良い判断ができる」と述べました。

最新の経済予測では、2025年の実質経済成長率の見通しを1.4%に下方修正しました。一方で、個人消費支出(PCE)価格指数は、2025年末に3.0%、2026年末に2.4%、そして2027年にようやく2.1%に鈍化すると見込まれています。失業率は2025年末時点で4.5%と予想されており、前回3月の4.4%からわずかに上昇しています。

FRBは声明で、「経済見通しを巡る不確実性は低下したものの、依然高いままだ」としたうえで、「失業率は引き続き低水準にあり、労働市場の状況はなお堅調」としています。今回の政策決定は全会一致でした。

ブランディワイン・グローバルの債券ポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は、「ある種の停滞、低成長とインフレ率上昇というバイアスがまだある」「FRBは依然として非常に忍耐強く、近い将来に利下げする方向に傾いているように感じられる」と述べました。

FOMC声明では、イスラエルとイランの衝突や石油市場への影響については触れておらず、パウエル議長も「皆と同じように」この紛争を注視しているとし、「エネルギー価格が上昇する可能性はあるが、通常そうした上昇はいずれ弱まり、インフレに長期的な影響を及ぼさない」との見方を示しました。

また、「当面は政策スタンスの調整を検討する前に、経済の方向性について一段の情報を得るまで待つ良い位置にある」と述べ、FRBは入手される情報に応じて柔軟に対応していく姿勢を強調しました。

金利先物市場では、次回の利下げが最も実施されやすい時期として、9月との見方が引き続き維持されています。(ロイター)

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