イラクで、過激派組織IS=イスラミックステートの拠点、モスルの奪還作戦が大詰めを迎える中、戦闘に巻き込まれる民間人が増え続けていて、国連は「市民が極度の危険に直面している」として、イラク軍などにより慎重に作戦を進めるよう求めました。
モスルから疎開したイラク住民=AFP/TTXVN |
イラク第2の都市、モスルの奪還作戦を進めるイラク軍は24日、声明を出し、過激派組織ISが最後の抵抗を続ける旧市街の奥深くまで進軍しており、ISに残された支配地域は街全体の面積の1%に満たないと発表しました。
現地からの映像では、解放された女性や子どもたちがイラク軍の兵士から飲み水を受け取ったり、けがの手当てを受けたりしている様子が確認できます。
しかし、人口が密集した地域での市街戦となっているため、戦闘に巻き込まれる民間人が増え続けていて、WHO=世界保健機関によりますと、作戦が始まった去年10月以降、けがをして病院で手当てを受けたおよそ1万5000人のうち、7割以上が市民だということです。
イラクでの人道支援の調整を担う国連のグランデ人道調整官は、24日に発表した声明で、「市民が極度の、想像しがたい危険に直面している」として、イラク軍などにより慎重に作戦を進めるよう求めました。
これに対してイラク軍は、大規模な攻撃を控えるとともに、建物を1軒ずつ回りながら掃討作戦を進めているとしていますが、ISが民間人を「人間の盾」として利用しているため、今後犠牲になる市民がさらに増えることも懸念されています。(NHK)