2024年7月5日、ダウニング街10番地のイギリス首相官邸に入るスターマー新首相と妻ビクトリアさん（ロイター）

イギリスで14年ぶりに政権交代を実現させた労働党のスターマー首相による新政権が5日、始動しました。保守党が主導した2020年のEU＝欧州連合の離脱後に冷え込んだ欧州との関係修復を狙い、軍事面での協力を拡大させる考えです。イギリスはウクライナへの主要な武器供与国であり、新政権になっても支援は揺るがないとしています。

9～11日にワシントンで開かれるNATO＝北大西洋条約機構の首脳会議が、スターマー氏の外交デビューとなります。

EU離脱後のイギリスは対中抑止を念頭にインド太平洋地域への影響力拡大を進めてきました。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、アジアよりも欧州で安全保障協力を進めるべきだという機運が高まっています。新政権はEUとの協調路線を取り、安保に関する新協定も模索しています。

EU離脱によって通関手続きが煩雑になるなど通商への悪影響が出ており、有権者の保守党批判につながりました。労働党は離脱の後遺症を和らげるため、経済面でEUとの貿易や投資環境の改善を目指しています。（共同通信）