VOVの国際放送の歴史に貢献したアナウンサー

(VOVWORLD) - 過去77年間、VOVの国際放送部の各世代のアナウンサーは自分の語りを利用してベトナムと世界各国との距離を縮めていますが、今後も、若手アナウンサーはその伝統を立派に受け継いでいくことでしょう。

ラジオ放送で音声表現の中心的な担い手としての役割を担うアナウンサーは、ラジオ番組の主人公と言っても過言ではないでしょう。VOV5=ベトナムの声放送局の国際放送部には、母国語ではないニュースにもかかわらず、その印象的な語り口が遠い国の多くのリスナーの心に残っているアナウンサーが少なくありません。

VOVの国際放送の歴史に貢献したアナウンサー - ảnh 1チン・ティ・ゴさん

(テープ)

お聞き頂いているのはVOVの英語放送のアナウンサー チン・ティ・ゴさん(1931年~2016年)がベトナム戦争時のアメリカ兵を対象とした「アメリカ兵との細かい話」という放送番組でアナウンスした声です。ゴさんはVOVの国際放送部の最も有名なアナウンサーとして知られていました。アメリカ兵によって「ハノイ・ハンナ」と呼ばれた彼女の語り口調はベトナム戦争からのアメリカ帰還兵を含むVOVの多くの世代のリスナーの心に残っています。

ゴさんは戦時中、1日3回の放送を行ない、戦死したり捕虜となったアメリカ兵の名前の読み上げのほか、アメリカの介入の不当性と非人道性を伝え、アメリカ兵の厭戦気分を煽ろうとしました。あるいはアメリカ兵に故郷を想起させ、ホームシックに陥れようと、アメリカの反戦ポピュラー音楽を流したりしました。アメリカ・ケネディ元大統領は「ハノイ・ハンナ」について「ベトナムは彼女の魅力的な語りを利用して、アメリカ兵の精神をむしばんだ」とコメントしました。

英語放送のゴさんのほか、VOVの国際放送部には、中国語放送のチャン・シンさんや、フランス語のファム・ティ・ティさん、日本語放送のグエン・ティ・トエットさん、ロシア語放送のグエン・ティ・クイエット・タムさん、ラオス語放送のファム・ディン・クエさん、インドネシア語放送のトゥ・トゥイさんなど多くの有名なアナウンサーが存在し、誇りに思っています。彼らの語りは、世界各国のリスナーに「ベトナムの声」を届け、リスナーとVOVの懸け橋となりました。

VOVの国際放送の歴史に貢献したアナウンサー - ảnh 2マイさん(後ろ)

(テープ)日本語放送のアナウンサー「マイさん」の声

オールド リスナーのみなさんならこの女性アナウンサーの声を覚えておられるでしょうか。彼女はグエン・ティ・トエットさんです。番組では聞きとりやすいように「マイ」と名乗っていました。マイさんは戦争が激化していた1965年に入局し、2001年に定年退職するまでの35年間、日本語放送を担ってきました。大学では中国語を専攻していましたが63年に日本語課が創設されたため、「漢字がわかるなら」と日本語課へ配属されました。一からまた日本語を習得した努力家でした。その後は翻訳とアナウンスだけでなく、1990年代からは後進の育成にも力を入れ、現在のスタッフの多くはマイさんを師と仰いでいます。

美しい声と凛とした語り口調からファンが多かったことも印象的です。退職後はそんな日本の古いリスナーに招待されて、2001年5月から一か月間、北は北海道・函館から南は九州・大分まで、各地のファンと交流の旅をしたという特筆すべきエピソードも残っています。マイさんは2013年11月、享年68歳で亡くなりましたが、現在も日本語放送のスタッフの模範であり続けています。

VOVの国際放送の歴史に貢献したアナウンサー - ảnh 3トゥ・トゥイさん

一方、インドネシア語のベテランアナウンサー トゥ・トゥイさんはインドネシア人とほぼ変わらないくらい流ちょうにインドネシア語を話すアナウンサーとして知られています。トゥ・トゥイさんは次のように語りました。

(テープ) 

「アナウンサーは、言語ができるということはもちろん、仕事を尊敬し、愛することが求められます。仕事を愛すれば、仕事からも大事にされるはずです。私の場合は、心を込めてアナウンスをしたためか、ベトナムから数千キロ離れたインドネシアからリスナーの愛情をたくさんもらいました。どんな国の言葉でも大好きになれば、その国の文化や人々に触れるチャンスを一つだって見逃さないでしょう。私はインドネシア人と話すことが大好きです。これはアナウンス能力を高めるよい方法です。1987年にVOVに入局した私は、現在もマイクの前に座ると自分の前には大勢のリスナーがいるような感じがし、いつも心を込めて原稿を読んでいますよ」

先輩たちの栄光を受け継ぐ現在の若手アナウンサーは、外国語能力向上のための絶ゆまぬ努力とともに、自分自身のスタイルづくりにも取り組んでいます。その中で、英語放送のアナウンサー レ・フォン・カインさんは、生活や文化、娯楽を担当し、エネルギッシュなアナウンサーとして知られています。彼女は2018年と2020年に全国ラジオ放送フェスティバルで2回にわたって「優秀な司会」という賞を獲得しました。カインさんの話です。

VOVの国際放送の歴史に貢献したアナウンサー - ảnh 4レ・フォン・カインさん

(テープ)

「VOV5では、アナウンサーとしてだけでなく、編集員としても働いています。そのため、番組の主な内容をより理解でき、アナウンスをする時に、読むというより話すようにしています。リスナーに原稿を読むのではなく、リスナーに話しかけたり、交流したりしているような雰囲気を作りたいからです。人によってリスナーの興味を引き付けるやり方は異なりますが、私は同僚からも学び、自分にふさわしいやり方を模索してより良い番組を作りたいと思います」

VOV5=国際放送部のグエン・ティエン・ロン部長は、近年、VOV5は近代的なラジオ放送を開発する方針により、若手アナウンサーの多くはベテランアナウンサーの指導を受けて、近代的なラジオ放送に大きく貢献していると述べ、次のように語りました。

VOVの国際放送の歴史に貢献したアナウンサー - ảnh 5グエン・ティエン・ロン部長

(テープ)

「近代的なラジオ放送では、司会を務めるアナウンサーは番組の成功か失敗を決めるほど重要な役割を果たしています。近年、VOV5では、独自のスタイルを持って多くのリスナーを引き付けている若手アナウンサーが出ています。しかし、優秀なアナウンサーになるためには、それぞれのアナウンサーが絶えず努力しなければならないと思います」

過去77年間、VOVの国際放送部の各世代のアナウンサーは自分の語りを利用してベトナムと世界各国との距離を縮めていますが、今後も、若手アナウンサーはその伝統を立派に受け継いでいくことでしょう。

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