(VOVWORLD) -クメール族はベトナムの54の民族の内、人口が多い少数民族の一つです。現在はおよそ130万人います。
山崎 こんにちは、山崎千佳子です。
ソン こんにちは、ソンです。今日のハノイ便りは、少数民族のクメール族の言葉、クメール語を教える取り組みについてお伝えします。
山崎 クメール族のことはよく聞きます。VOVの番組でもよく取り上げていますよね?
ソン はい。クメール族はベトナムの54の民族の内、人口が多い少数民族の一つです。現在はおよそ130万人います。
山崎 南部に多いんでしたっけ?
ソン そうです。主に、チャビン省、ソクチャン省、アンザン省など、南部のメコンデルタに住んでいます。
山崎 クメールの人は、カンボジアに多いんですよね?
ソン そうですね。カンボジアのほとんどの人がクメール族で、他にベトナムやタイに多くいます。クメール族の居住地は平野部なので、殆どは稲作に携わっています。
山崎 メコンデルタだと、お米もたくさんとれるでしょうね。
ソン はい。でも、それ以外に、いろいろな伝統工芸品も作ってるんですよ。
山崎 どんなものでしょう?
ソン 手織物、編み物、陶器です。あと工芸品では
ないですけど、パームシュガー、ヤシから採れる砂糖生産も行っています。
山崎 パームシュガー。初めて聞きました。陶器というのは食器ですか?
ソン 鍋とコンロで、メコンデルタの人達によく使われています。
山崎 陶器の鍋と陶器コンロ。ガスや電気で調理するよりおいしそうですね。
ソン そうかもしれませんね。
山崎 そして、今日の話題のクメール語教室ですが、ベトナムの公用語はキン族の言葉のベトナム語ですよね。学校でもベトナム語というのは、ハノイ便りやおしゃべりタイムでも聞きました。
ソン はい。でも、やはりクメール族の居住地では、クメール語がよく使われています。
山崎 クメール語はベトナム語とは全然違いますか?
ソン 違います。クメール語はカンボジア語とも呼ばれます。インドシナ半島とその周辺で用いられる言葉です。
山崎 そっか、カンボジア語なんですね。字がタイ語のように、にょろにょろというか絵のようなものですよね。
ソン そうです。ベトナムの教育訓練省は、クメール族が多く住んでいる地域で、クメール語教育を学校の科目の一つとして取り入れたんです。
山崎 へえ。じゃあ、クメール語教育が盛んになってきたんですか?
ソン それが、メコンデルタ最大の都市であるカントー市の中心部、ニンキエウ地区にはクメール族があまりいないことから、クメール語教育はされていません。
山崎 あら、ちょっと拍子抜けですね。ニンキエウという地名は、カントーが出て来ると、セットのようによく聞きます。歌もありますよね。ニンキエウの船着き場、でしたっけ?
ソン そうです。そのニンキエウです。学校での授業がないことから、ニンキエウ地区にある寺の僧侶が、クメール語教室を開くことにしたんです。
山崎 まさに寺子屋ですね。反応はどうですか?
ソン この教室が始まった時、カントー市に住んでいるクメール族の人達はとても喜んで、子供達をすぐに通わせました。
(テープ・現場の音)
山崎 これは、そのクメール語教室の様子ですね。今ちょうどベトナムの学校の夏休みですから、にぎわっているんじゃないですか?
ソン そうなんです。やはり、今は参加する子供達が多くなっています。クメール族の人達にとって、この教室は願ってもないことだったようです。
山崎 このクメール語教室を開くことを決めた僧侶(チャン・ソル)の話です。
(テープ)
「子供達が自分の民族の言葉を読み書きできるよう、そして、クメール族の言語と文化を守るため、必要なことだと思いました。長い夏休みは、クメール語を学ぶ時間が十分にあります。教室に来る子には、教材も提供しています。」
山崎 この寺では、毎週月曜から金曜の午後の2時間、小学生と中学生を対象に、クメール語を教えているということです。
ソン 先ほども言いましたが、子供を通わせている親達が大変喜んでいるんです。そのうちの一人( Huynh Da Lin)のコメントです。
(テープ)
「お寺でクメール語を教えてもらえるのはいいですね。学校では、公用語のベトナム語ですから。クメール語教室で、子供達が少しずつクメール族の伝統文化についても理解できるようになると思います。」
ソン クメール語を教えている僧侶の話では、クメール族の多くの家庭でクメール語を使っているということで、子供達のクメール語での会話は問題ないそうです。
山崎 と言うと、文字もすぐに書けるようになるんじゃないですか?
ソン そうなんです。それに子供達はクメール語に興味があるので、習得も早いそうです。
山崎 いいですね。好きこそものの上手なれ、ですね。そのクメール語の先生の僧侶( Thach Diep)の話です。
(テープ)
「親は子供をはりきって寺に連れてきてくれます。子供がクメール語の勉強が好き、というのがわかるからです。」
山崎 若い脳ですから、ぐんぐん吸収するでしょうね。
ソン そうですね。教室に通う女の子(Chane RaTaNi)の話です。
(テープ)
「ここで勉強できて、うれしいです。学校ではクメール語を教えないからです。私はクメール族なので、その言葉ができなければだめだと思います。クメール語の勉強を本当にがんばりたいと思います。」
ソン この寺では、小中学生だけでなく、クメール語を学びたいすべての人に、夜にも教室を開いています。
山崎 これはうれしいですね。昼間だと働いている人は行けないですからね。話せても文字が書けないので勉強したい、という人にいいですね。
ソン はい。言葉だけでなく、クメールの文化を守るということにもつながりますからね。
山崎 そうですね。では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。今日のハノイ便りは、ベトナム南部カントー市のお寺で開かれているクメール語教室についてお伝えしました。それでは今日はこの辺で。