北部山岳地帯にあるソンラ省バンホ県に住む少数民族モン族は昔から伝統衣装を仕立てる伝統的職業があります。ここに住むモン族の人々は自分の手で衣服を仕立てます。特に、伝統的お正月テトになると、一人最低でも１着から２着の新しい服を仕立てます。現在、地元の人々はこの伝統的職業の維持、保存に力を入れています。

モン族の民族衣装は、モン族の文化だけでなく、歴史や人生観をも物語るものです。モン族の女性の衣装は色とりどりです。民族衣装の一式といえば、スカート、ブラウス、腰帯、頭巾、そして脚を包む脚絆、現代的言い方ではレッグラップからなっています。スカートはバレエの衣装のチュチュと似ていますが、横にぴんと張った形です。ブラウスは襟の中央から前身頃の左側にスリットが入り、ボタンで留めます。また、襟と袖、裾には模様がついています。

モン族の女性は刺繍が上手です。刺繍の模様は多様で、クロスから三角型、サークル、スパイラル、S字型にわたって、模様のレイアウトも調和しています。モン族の考えでは、これらの模様は太陽、天候、空間、時間を象徴するものであるとしています。また、スカートの色は主に赤、緑、黄色が基本です。

バンホ県に住むモン族のほとんどの家庭はミシンがあります。花嫁になる娘にミシンを１台与えます。

バンホ県ロンルオン村パカ集落に住むモン族出身のチャン・テイ・ズア（Trang Thị Dua）さん一家は長年来、モン族の伝統衣装を仕立てる仕事をしてきました。家族全員の衣服を仕立てるだけでなく、仕立て屋を経営していて、モン族の衣服を作っています。そして、モン族の昔からの伝統的模様を使うだけでなく、全国各地に住んでいるモン族の他の模様を見習い、自分が作っている衣服に刺しゅうをしています。ズアさんは次のように語りました。

（テープ）

「私はモン族の伝統的職業を維持、保存するため、１５人から２０人までの女性グループを作って、この伝統的職業の維持、保存に取り組んでいます。これは女性たちに雇用を創出します」

バンホ県ロンルオン村パカ集落に住むモン族出身のホ・ティ・マイ・ラン（Ho Thị Mai Lan）ちゃんは今年１５歳になりましたが、モン族の手織物に刺しゅうをできるようになりました。幼い頃から、ランちゃんは祖母や母親がモン族の伝統衣装を仕立てたり、刺しゅうをしたりするところを見ながら育ちました。１０歳になった頃、お母さんはランちゃんに織物の作り方や刺しゅうのやり方を教えました。ランちゃんの話です。

（テープ）

「今はもうモン族の伝統衣装にある模様を刺しゅうできるようになりました。今後、衣服の仕立てを学びます。自分で、新しい衣服を仕立てたいからです」

バンホ県に足を運ぶ観光客はいずれも記念品としてモン族の伝統衣装を買いたいので、モン族の伝統衣装が記念品となってきました。バンホ県ロンルオン村人民委員会のTếnh A Chìa委員長は次のように語りました。

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「モン族の伝統衣装の値段はかなり高いです。平均１着は１００万ドン～２００万ドン（約５千円～１万円）かかります。もし、これを作ると地元の人々に高い収入をもたらします。地元の多くの世帯はモン族の伝統衣装の経営から安定した収入を得るようになっています」

バンホ県の行政府はモン族の伝統衣装の保存に関する意識を高めるため宣伝活動を行う傍ら、「モン族の伝統衣装のファッションショー」などの活動も行ってきました。バンホ県文化情報課のグエン・テイ・ルー課長は次のように語りました。

（テープ）

「私たちはモン族の伝統衣装の維持、保存するため、この衣装を作る伝統的工芸の発展を目指す政策や対策を引き続き実施します。特に、この伝統的工芸を教える職人を支援します。この伝統的工芸の発展は地元の人々の生活水準の改善につながるからです」

現在、バンホ県はモン族の伝統衣装を独特な観光商品にするため、観光振興活動を展開しています。これはこの地の伝統的職業の維持、保存に貢献することでしょう。

以上、ソンラ省におけるモン族の伝統衣装の維持、保存についてお伝えしました。では、今日のハノイ便りはこのへんで失礼します。