(VOVWORLD) - ベトナムの神聖な領土であるチュオンサ諸島は兵士や島民、漁民に守られていますが、この諸島にあるお寺は彼らの精神生活を守っています。
ベトナム東部海域(南シナ海)にあるチュオンサ諸島は近年、中国が埋め立て工事を進めるなどこの諸島での実効支配を強めるなか、国際社会の注目を集めています。この諸島にある寺院は、諸島に駐屯している兵士や島民、漁民の精神的な生活を支えるだけでなく、チュオンサ諸島に対するベトナムの領有権も示しています。
日本では南沙諸島と言われ、英語名ではスプラトリー諸島と呼ばれるこの諸島は岩礁・砂州を含む無数の海洋地形からなり、これらの多くは環礁の一部を形成しています。ベトナムの古い書物によりますと、ベトナムの最後の王朝であるグエン朝の第二代皇帝、ミンマン王は寺院を建立するため、何度も建設資材と人々をチュオンサ諸島に派遣したと言われています。寺院や神社は、漁業に携わる人たちの安全を祈願するためのものです。現在も、この諸島には幾つかの寺院があり、そのなかで、かつての寺院から改装されたものもあれば、新しく建立されたものもあります。
(テープ)お寺の鐘の音
ソントゥテイという島にあるお寺の鐘の音です。まるで大陸の村の平穏な雰囲気のようです。ソントゥテイ島はチュオンサ諸島の島々の中で大陸から最も離れた島です。チュオンサ諸島にはお寺が6カ所ありますが、その中で、ソントゥテイ島のお寺が最も大きく、ベトナムの伝統的な寺院の建築を持っています。このお寺は三関門から、信者の礼拝空間である前堂、ご本尊をまつる建物である上殿などが配されます。正面は首都ハノイの方向を向いています。これはチュオンサ諸島のすべてのお寺の共通点です。ソントゥテイ島のお寺には多くの仏像が安置されている他、国の海と島を守るために犠牲になった英雄烈士も祀られています。
ソントゥテイ島に駐屯している兵士と島民は大陸の人々と同様、旧暦の1日と15日に、お寺参りをし、健康と平穏な生活を祈ります。また、漁民たちは、島に立ち寄るたびに、必ずにお寺参りをし、安全と大漁を祈ります。ソントゥテイ島のお寺の住職ティック・トゥオン・ダット僧侶は次のように語りました。
(テープ)
「この寺は、島民と漁民の精神生活を支えるという重要な役目があります。特に、漁民たちはお寺で拝めば、安心して漁ができるようです。」
シントン島のお寺 |
一方、シントンという島にあるお寺はソントゥテイ島のお寺より小さいですが、ベトナム北部ならではの建築を持っています。約500平方メートルの敷地に建立されたこの寺は調和が取れた建築様式があり、三関門から、信者の礼拝空間である前堂、本尊をまつる建物である上殿、僧侶が読経などを行う焼香、鐘楼などが配置されます。このお寺は島民と漁民の安全祈願のためだけでなく、島民の集会所としての役割も果たしています。島民の一人ヴォ・タイン・ホアさんは、次のように話しました。
(テープ)
「毎日、朝か夕方、お寺へ行って、島に駐屯している兵士と島民の健康などを祈ります。」
ソンカという島にある灯台の従業員ファン・ヴァン・ミンさんによりますと、厳しい自然環境と不十分な生活環境にさらされる離島では、毎日、お寺の鐘を聞くだけで、心が癒されるとしています。ミンさんの話です。
(テープ)
「旧暦の1日と15日に、お寺参りをし、家族を含む島民と兵士が皆健康になりますように線香を手向けます。そうする度に、本当に心が癒されるようになりますよ。」
寺院の存在により、チュオンサ諸島は遥かに遠い離島のはずが、沿海地帯の漁村になったかのようです。こうした寺院は、離島の島民の精神生活を支えるだけでなく、チュオンサ諸島の平和のシンボルともなっています。チュオンサ諸島の島々の中で最も大きな島チュオンサ島にあるソンリン寺の住職ティック・グエン・ホア大徳は次のように語りました。
(テープ)
「ソンリン寺は神聖なところで、兵士や漁民たちはお寺参りすると、心が癒されます。これは寺院として最も重要な役目だと思います。」
ベトナムの神聖な領土であるチュオンサ諸島は兵士や島民、漁民に守られていますが、この諸島にあるお寺は彼らの精神生活を守っています。