ハイズオン省にあるサギの島



ハイズオン省にあるサギの島 - ảnh 1
(写真:VTV)

ベトナムの身近な話題をお伝えするハノイ便りの時間です(11月27日)

山崎  こんにちは、山崎千佳子です。 

ソン  こんにちは、ソンです。今日のハノイ便りは、ベトナム北部ハイズオン省にあるサギの島についてお伝えします。

山崎 サギの島?サギがたくさんいる島なんですか?

ソン そうです。ハノイから南東へ70キロのところにあるハイズオン省にアンズオンという湖があるんです。その湖の中央に小島が浮かんでいて、サギなどがたくさん生息しているので、サギの島と呼ばれています。

山崎 小島。面積はどれくらいですか?

ソン およそ3000平方メートル、公式サッカー場のおよそ半分くらいの広さです。そこに、大体1万羽のサギのほか、多くの鳥類が生息しています。

山崎 1万羽?それに他の鳥もいるとなると、すごい数ですね。

ソン はい。サギだけでも6種類います。また、毎年9月頃から翌年の4月頃まで、北から多くの鳥がやって来て、ここで越冬します。

山崎 その湖、アンズオン湖は広いんですか?

ソン およそ10ヘクタールです。東京ドームで言うと、およそ2個分になります。地元の人によると、この湖から水を取ってもその分だけ水位がすぐに戻るそうで、汲んでも汲んでも無くならないそうです。干ばつのときにも、変わらないということです。

山崎 ほんとですか?不思議な湖ですね。何か理由があるんでしょうか?

ソン 地元のお年寄りの話では、この地方が18世紀に3年連続で台風に襲われた時、川の堤防が決壊して、アンズオン湖の形成につながったそうです。

山崎 なるほど。天然のダムのようになっているのかもしれませんね。

ソン はい。そのためか、湖は魚やサギなどにとって理想的な生息地となっています。湖には、様々な魚もいて、その中の多くが珍しい種類のものなんです。重さが30キロにもなる魚もいます。

山崎 すごいですね。30キロは相当大きな魚ですよね。アンズオン湖は生物学的にも価値がある場所ですね。

ソン そうですね。湖の中には3つの小島があるんです。

山崎 サギの島だけじゃないんですね。

ソン はい。一番小さいのがサギが生息しているところで、南チーラン島と呼ばれています。他の2つの島には人が住んでいます。

山崎 へえ。たくさんいるんですか?

ソン 13世帯なので、多くはないです。

山崎 じゃあ、鳥の数の方が圧倒的に多いですね。先ほど、越冬の時期には数が増えるという話もありました。

ソン はい。その時には、この南チーランという小島は、巨大な綿の木のようになります。その影が湖に写って、とても美しい絵のような光景を作り出します。

山崎 鳥が木にたくさんとまるからですか?

ソン あと、巣を作るからです。2月頃から8月頃まではサギの出産シーズンで、竹が生い茂っているこの小島はサギの繁殖に最適とされています。

山崎 なるほど。それで綿のようにふんわりとした形になるんですね。この小島の管理委員会、委員長(レー・ヴァン・フイー)の話です。

(テープ)

「竹には小さい枝がたくさんあるので、サギが巣を作っても落ちにくいんです。また、出産シーズンは雨がよく降るので、卵にはよくないんですが、竹の枝はすぐ乾燥するため、雨の影響はほとんど出ません。」

山崎 これはうまくできてますね。自然の知恵というか、すごいですね。

ソン そうですね。地元の人もこの場所を大事にしています。ベトナム語には「よきところに鳥がとどまる」ということわざがあります。鳥は環境のいい安全なところにしか来ないので、人間もそういう場所に住むと幸せだという考えです。

山崎 そして、これだけ多くのサギが住んでいるということで、観光客が増えているんだそうですね。

ソン そうなんです。地元の経済も発展しました。

山崎 いいことだらけですか?

ソン 実は20年位前は、サギを殺したり、巣を壊したりした人もいたんですが、1994年にサギの島が「エコ観光地」になってからは、サギが守られるようになりました。今では、地元の人誰もが、サギの島の重要性を認識していて、サギの保護に取り組んでいます。

山崎 サギの島のエコ観光地化に取り組んだ生物学者(グエン・ヴァン・カン)の話です。

(テープ)

「最初に島を調査した時には、私たちが近づくと、サギは一斉に飛んでいってしまいました。今では、サギも人間に慣れてきたので、逃げません。安全だと感じているんです。この20年、持続可能な開発という方向でこの小島を守ってきたことで、環境保護のいい例が作れたと思っています。」

山崎 サギの島には、様々な鳥類のほか、およそ70種類の昆虫もいるということです。ここは、生物の多様性という点でも、多くの人を引き付けそうですね。

ソン そうなんです。山崎さんは、GEF、ジェフという機関は知っていますか?

 

山崎 初めて聞きました。何でしょう?

ソン Grobal Environment Facilityの頭文字を取って「ジェフ」なんですが、地球環境ファシリティーと言います。発展途上国の環境保護のために、世界銀行と国連など3つの機関によって共同運用されているものです。

山崎 その国際機関がサギの島の保全を支援しているんですか?

ソン はい。貴重な自然遺産ということで、この地区に環境教育センターが建設されました。ジェフによりますと、ここは自然を保護することによってそこに暮らす人間の生活環境にいい影響を与えた代表的な例だということです。

山崎 地元の人民委員会、元副委員長(グエン・ゴック・ヌァン)の話です。

(テープ)

「気候変動が問題となっている中で、この地域は子供たちを始め、あらゆる人の環境保護の認識を高めるために、重要な役割を果たしています。現在、この辺の学校はサギの島の生態系とその保全プロジェクトを学校のカリキュラムに取り入れています。」

山崎 ジェフ、地球環境ファシリティーの支援によって、さらにこの湖、アンズオン湖の環境が守られますね。

ソン そうなんです。湖に浮かぶサギの島以外の2つの小島には13世帯が住んでいるんですが、地元の行政府は、その人たちに別の住まいを用意して、その2つの小島もサギが巣作りできる場所にする計画を立てているそうです。

山崎 そうなると、アンズオン湖はサギの一大生息地になりますね。

ソン はい。その2つの小島に竹などを植えて、サギが住みやすい環境を作る計画です。

山崎 サギにとっては天国ですね(笑)。

ソン 地元行政府はアンズオン湖周辺だけでなくて、より広い範囲で住民のサギの保護に関する認識を向上させる方針です。アンズオン湖をサギの生きた博物館にしたいということで、国立公園の建設を考えているそうです。

山崎 自然と人間がうまく共存できるといいですね。では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。

(曲)

「~」をお送りしました。今日のハノイ便りは、ベトナム北部ハイズオン省にあるサギの島についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。

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