(VOVWORLD) - 新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大している背景の中で、ベトナムでは、社会全体の力が動員されており、新型コロナウイルスとの闘いが効果的に展開されています。その闘いに先頭を立つのは病院関係者でしょう。
23日午後3時現在、ベトナムで確認された感染者は16人で、その中の15人が完治し、退院しました。また、感染の疑いで隔離されている人はまだ多いです。感染者の治療や、感染の疑いがある人の健康状態チェックを担当しているのは病院関係者なのです。
ベトナム中部港湾都市ダナンには、数千人の中国人が滞在していたほか、数多くの中国人観光客も訪れていました。そのため、今年の1月のはじめから、ダナン市は、新型コロナウイルスによる肺炎の感染への予防対策を精力的に展開しています。ダナン市肺臓病院は、発熱などの症状で新型コロナウイルス感染の疑いがある人を受け入れることになった病院の一つです。100病床を持つ小さな病院ですが、この病院の96人の医師や看護師・介護士などは、職場はもちろん、社会と家族からも大きな圧力を受けながら、自分の任務を立派に果たし、新型コロナウイルスとの闘いに貢献しています。
ダナン市肺臓病院の隔離スペースで働いている医師グエン・ティ・トゥイ・ズオンさんは、新型コロナウイルスによる肺炎の感染が広がって以来、家より病院の方に長くいるようになっています。旦那さんもこの病院の医師で、双方の両親は遠方に住んでいるため、2人の子どもの面倒は近所の人によく頼んでいます。しかし、ズオンさんは、「新型コロナウイルスとの闘いのために家族を犠牲にしている医師は多い」と話し、自分の犠牲と大変さについて触れませんでした。
ダナン市肺臓病院のレ・タイン・フック院長によりますと、この病院は感染の疑いがある人の隔離を行っていますが、病院の関係者はこれらの人たちの健康状態を見極めるときの専門的な圧力はもちろん、強制的に隔離されている人の不満などによるストレスに直面しています。フック院長の話です。
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「強制的に隔離された人がいますから、彼らが不満を持つのは当たり前です。そのため、当院の医師や看護師などは彼らをやさしく接するようにしています。好きな食べ物を用意したりするなどです。」
ダナン市肺臓病院の医師グエン・フ・トさんは、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)に対応する経験があったので、今回の新型肺炎に対応するとき、その病気そのものは心配していないようですが、家族や友達をはじめとする周りの人の不安を心配しています。医師が感染防護服の着用などの感染予防措置をとっても感染する可能性もあるので、周りの人はその医師から感染する恐れがあるからです。トさんは、すべての医師は周りの人の不安をよく理解していて、感染予防措置を徹底させていると述べ、次のように語りました。
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「医師たちは患者よりもっと厳しい感染予防措置をとっています。患者の様子をチェックする前に、感染防護服を着用し、終わったら、感染防護服を外してシャワーをするという規定を守らなければなりません。1日に例えば10回にわたって患者の様子を見れば、10回にわたって、その規定を守りますよ。」
インターネットの普及に伴って新型コロナウイルスに関する間違った情報がたくさん流されています。これは患者をはじめとする市民に大きな不安をもたらしているとともに、新型コロナウイルスとの闘いに取り組んでいる医師にも圧力を与えています。ダナン市肺臓病院のグエン・タイン・チュン副院長は、病院は1日、数百回の電話の問い合わせを受けて新型コロナウイルスについて聞かれていると明らかにし、次のように語りました。
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「情報は様々で、間違った情報もたくさんあるので、患者さんはとても不安です。そのため、私たちは、患者の治療で圧力を受けていますが、こうした情報への対応が大変ですよ。感染状況やその伝染病についていろいろ聞かれていますが、24時間体制で電話で市民の質問に答えています。」
WHO世界保健機関は先ごろ、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に対応するベトナムの取り組みを高く評価しました。また、この10日間、ベトナムで新たなに確認された感染者はいません。これは、全国民に安心感を与えています。新型コロナウイルスとの闘いにおけるこうした成果は、ダナン市肺臓病院の関係者を含む全国の病院関係者の大きな貢献と苦労によるものと言えるでしょう。