新型コロナ禍における相互支援

(VOVWORLD) - 長引いた戦争や自然災害によく襲われた経験を持つベトナムは、有事の際にはに被災者や貧困者を支援するという良き伝統を誇りにしています。新型コロナウイルス感染症による今回のパンデミックでは、収入が絶たれた人々を支援する取り組みも広がっています。
新型コロナ禍における相互支援 - ảnh 1 新型コロナ予防対策に当たっている公安部隊に定食を提供している「コミュニティーのの台所」

ベトナムでは、政府が新型コロナの第1波対策として4月に商店や事業所を閉鎖させ、多くの人が働けなくなりました。また、第1波に続く現在の第2波の影響により、失業者が増えつつあり、食べ物も事欠く世帯も増えています。こうした背景の中で、中部ダクラク省ブオンマートート市では、貧困世帯を支援するボランティア活動「コミュニティーの台所」は、貧しい人の他、新型コロナ予防対策に当たっている人や隔離されている人にも食事を無料で提供しています。

「コミュニティーの台所」は元々、ブオンマートート市のトンニャット地区人民委員会のスタッフとこの地区の社会団体のメンバーらが貧しい人に昼ご飯を安値で提供すために2015年に設立された非営利団体です。しかし、新型コロナが市内に広がってからは、新型コロナの影響で苦しい生活を送っている人の他、新型コロナ予防対策に当たっている医療関係者や公安部隊、兵士などに昼ご飯を無料で提供することにしました。

毎日の早朝、「コミュニティーの台所」のメンバーは市場へ原材料を買いに行って自分の手で調理した後、昼ご飯の時間になると、対象者の元まで運びます。トンニャット地区女性連合会のゴ・ティ・ドアン・チャン会長はこのグループのメンバーとして原材料の買い物を担当しています。チャンさんは、「微力ながらも、新型コロナとの闘いに貢献したい」と述べ、次のように語りました。

(テープ)

「新型コロナとの闘いに参加するため、私たちは、疫病に対応する検問所の関係者に昼ご飯を提供することをブオンマートート市の新型コロナ予防対策指導委員会に提案しました。この委員会の同意を受けて、8月5日から昼ご飯の提供を行っています。また、トンニャット地区の貧しい人に昼ご飯を無料に提供することにしました。毎日、100食分の定食を提供していますが、土日は150食にしています。その対象者は、体の不自由な人や、困難な生活に陥っている人などです。」

新型コロナ禍における相互支援 - ảnh 2 貧しい人に定食を直接手渡している「コミュニティーの台所」

「コミュニティーの台所」は、無料な食事とはいえ、食事の衛生はもちろん、その美味しさを確保するために、創意工夫を凝らして調理しています。グループは、料理が上手なメンバーの手際を活用するとともに、この地区のレストランのシェフにも頼んでいます。これにより、グループの食事をもらうことを心待ちにしている人が多いです。トンニャット地区の住民グエン・ティ・ドゥオクさんは次のように話しました。

(テープ)

「夫が亡くなってからこの10年、とても大変な生活を送っています。子どもは4人いますが、一人は高校卒業後すぐ結婚しました。もう一人は中学2年を終えただけで働ています。あと2人は学校に通っています。普段は、夜8、9時ぐらいまで街を回って果物を売っていましたが、新型コロナの影響で、もう20日も休んでいます。幸い、毎日の11時ごろ、「コミュニティーの台所」から食事をもらっています。とてもおいしいですよ。すごく感動しています。」

一方、ホー・ティ・ミ・レさんは目の不自由な人ですが、毎日町でほうきを売り歩いています。レさんの話です。

(テープ)

「私は目が不自由ですが、夫は足が不自由です。新型コロナの影響でだれもが大変ですが、「コミュニティーの台所」から定食をもらえてとてもありがたいです。困難な時は人情溢れる食事をもらうことは何よりですね。」

グループ「コミュニティーの台所」は、20人のメンバーの他、多くのボランティアの活躍で支えられています。その中には、若者もいれば、お年寄りもいます。チュオン・クォック・チンさんは、70歳を超えていますが、グループの活動に最も積極的に参加している人です。チンさんの話です。

(テープ)

「今回は、疫病に対応する検問所の人たちに食事を提供することに集中しています。私は年を取っていますが、まだ健康なので、コミュニティーのために何か貢献できればうれしいと思うからです。妻もグループの活動に参加しています。」

グループ「コミュニティーの台所」は毎日100人以上の人だけに食事を提供していますが、このグループを真似て活動するボランティアグループが増えています。その意味で、「コミュニティーの台所」の活動は新型コロナとの闘いへの波及効果があると言えるでしょう。

ご感想

他の情報