本によるお年玉 読書習慣の普及に貢献

(VOVWORLD) - ベトナムでは旧正月テトには、お年玉をあげる習慣が現在も根付いています。しかし、社会が変化している中で、この習慣も変わりつつあります。例えば、お金ではなく、本をお年玉として贈る人が増えつつあります。これは読書習慣の普及に貢献していると評されています。
本によるお年玉 読書習慣の普及に貢献 - ảnh 1

ベトナムのお年玉は、お正月に目上の人から目下の人(特に、子供)に金銭を贈る習慣で、他の東アジア諸国と同様の伝統的な文化の一つです。お年玉を贈る時は、お正月のめでたい色の代表である赤色や黄色・金色のポチ袋に入れます。日本でもベトナムでもお年玉は、お正月に贈られることや意味・渡し方などに大きな違いはありませんが、いくつかの相違点があります。

まず、日本のお年玉は目上から目下へ贈られるものとされるのに対し、ベトナムでは社会人になって収入を得たときはお正月に、両親・祖父母・親戚の目上の人へ贈ります。感謝の気持ちを込めて親孝行をするという意味です。また、日頃にお世話になっている取引先やクライアントの子どもにはお礼の気持ちをお年玉で伝える人もいます。そして、近所の子どもにもお年玉を渡します。さらに、同僚や友達の間でもお年玉を贈ることがあります。昔は子どもの健康や安全を願ってお年玉を渡していましたが、現代のベトナムではお年玉を贈る相手や意味が非常に広くなっています。例えば、オフィスやビル・マンションなどの受付の人や掃除の人・守衛さんなど日常的に手伝ってもらったり助けてもらった人へ感謝の気持ちを表すためにお年玉を贈る人は少なくありません。

こうしたお年玉の習慣は、お年玉を贈る相手や意味が広くなっているとともに、贈られるものもお金だけではなく、本や植物の種などのものにもなっています。これは、よき伝統の保存と読書習慣の普及に役立っているとされています。

今年の旧正月テトの前に、ハノイ市ドンダ区に住むグエン・トゥ・チャンさんは、自分の子どもや親戚・同僚の子どもへのお年玉を準備するため、本屋さんによって本を約30冊買いました。彼女は、贈られる子どもの年齢と好みをよく調べてふさわしい本を買ってきたと述べ、次のように語りました。

(テープ)

「新年のお年玉としてお金の代わりに本を子どもに贈ることは子どもの成長にいいと思ったので、本を買いました。子どもが毎日本を読むという習慣を作りたいと思います。」

一方、家族と離れてハノイで出稼ぎをしているグエン・ヴァン・フンさんがテトに帰省する際の荷物には本がたくさんありました。フンさんは、これらの本は子ども向けのもので、その中には、幼い頃大好きだった「ドラえもん」もあると述べ、次のように語りました。

(テープ)    

「年始は新しいことのスタートを意味するので、お金の代わりに、本でお年玉を贈ることにしました。本は知識がたくさんあるほか、文化的にも人文的にも価値が大きくて、子どもの精神面での成長に大いに役立つからです。ドラえもんのような絵本にも多くの教えが潜んでいるので、子どもが自然に受け入れられるでしょう。」

本によるお年玉 読書習慣の普及に貢献 - ảnh 2キムドン出版社の子ども向けの本

お年玉を贈る習慣のこうした新しい動きを前に、出版業界は、テトの前に子ども向けの多くの本を紹介しました。キムドン出版社のグエン・トゥイ・ロアン文学部長は、出版社にとって子どもが好きな本を作ることは重要だが、子どもにいい本を出すことは使命であると強調し、子どもに本をお年玉として贈るという動きを広げる必要があると述べました。ロアンさんは次のように話しました。

(テープ)

「子どもに本をお年玉として贈ることはとてもいい文化です。子どもたちは本からたくさんのことを学ぶことができるからです。これらは歴史、飲食文化、風俗習慣に関する知識のほか、いくら困難に遭っても乗り越える決意や親の苦労などに関するレッスンなどです。毎日本を読めば、毎日成長することでしょう。」

子どもに本をお年玉として贈る動きは大都市だけでなく、多くの地方にも広がっています。この動きを進めるために、今年のテトの前に、2017年のミスベトナムのヘン・ニエさんは在ベトナムイスラエル大使館の支援を受け、北部山岳地帯ハザン省バクメ県のミンソンと二エムトンの2つの村にある小学校の図書館に1万冊の本を贈りました。ヘン・ニエさんは、これらの本は新年はもちろん、長年子どもに幸運を与えるであろうと述べ、次のように語りました。

(テープ)

「子どもたちが本を読む習慣を身につけられるような環境を作ることは何よりです。これは子どもたちの夢を培うからです。これからも、困難な状態にある地方の子どもに、より多くの本を贈るためにできるだけ取り組む決意です。」

子どもに本をお年玉として贈ることは新年に子どもに喜びと幸運を与えるとともに、共同体に読書習慣を広げる効果もあるから、ベトナム文化の一部になることでしょう。

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