(VOVWORLD) -4月23日~5月31日にかけて、ハノイ旧市街ハンバック通り42番地に位置するキムガン集会所で、ベトナムの伝統的陶器生産村を紹介する「陶器の物語」という展示会が開かれています。
ベトナムの各伝統的工芸の中で、陶芸は長い歴史を誇っています。アジアの他の国と同じように、ベトナムの陶器の歴史も土を火で焼き上げただけの古代の素焼きに始まります。
約1万年前の新石器時代に作られた土器が、遺跡から出土しています。そして、紀元前2千年くらいの青銅時代に土器に模様などに入り始めました。単純な素焼きから表面につやを持たせる釉薬を使用した陶器に進化するのが紀元前1世紀以降です。
当時、中国の支配が始まったため、中国から多くの技術が入ってきました。そして、ベトナムが中国から独立した10世紀頃になった時、青磁の焼き物が盛んになりました。14世紀ころになると、細工も複雑になり、大きい器なども出現してきました。15世紀に入ると、ハノイ郊外のバッチャン村で陶器が盛んに作られるようになりました。
バッチャンの陶器は、李朝時代からつくり始められ、15世紀に入ると栄えてきて、海外にも輸出されました。10世紀から15世紀に誕生した多くの陶器生産村は今日まで維持され、発展しています。その中で、ハノイのバッチャン村の他、北部バクニン省のトーハ( Tho Ha) 村、フーラン( Phu Lang) 村、ビンフック省のフオンカイン( Huong Canh) 村、中部タインホア省のチュムタイン( Chum Thanh) 村です。
「陶器の物語」という展示会の目玉となるのはバッチャン村、フーラン村の伝統的陶芸村とチという陶器生産工房の代表的な製品を紹介するということです。バッチャン村の職人フアム・ゴック・フイさんは次のように語りました。
(テープ)
「バッチャン村の陶器は製品のデザインから模様、釉薬に至るまで何もかも見事です。バッチャン村のように美しい製品を生み出すのはベトナムだけでなく、各国でもあまり見られないでしょう。バッチャン村の陶器の釉薬を製造する原材料は自然のもので、化学物質が全くありません。例えば、褐色を作るため、ホン川の沈泥を使うこと、灰色を出すために風化石灰ともみ殻を燃やして、小さく砕き、粘土と混ぜて、釉薬にするということです。このような釉薬は特別なつやがあり、美しいです」
ベトナム陶芸職人の器用な腕により、ベトナムの陶器は民間の芸術になりました。ベトナムの陶器は多くの国々に輸出されています。画家グエン・マイン・ドゥクさんは次のように語りました。
(テープ)
「フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、日本など多くの国々がベトナムの陶器の輸入を望んでいます。バッチャン村を含め、ベトナムの伝統的陶芸村の製品の売れ行きはいいですよ。バッチャン村の職人が優れた人たちです。昔から、バッチャン村の住民の生活は豊かでした。バッチャン村の陶器は市場の需要に応えて、大量に生産されています」
ハノイで開かれている「陶器の物語」展示会を通じて、見物人はベトナムの陶器の歴史やこれに関連する文化を理解します。また、この展示会で、観客はその場で、陶器生産の工程を見学できます。ハノイ文化大学の学生ホ・ティ・クインさんは次のように語りました。
(テープ)
「展示会で紹介されている品々が見事に並べられています。バッチャン村の陶器は知っていますが、この展示会を訪れるとフーラン村の陶器を目にすることができます。この展示会を通じて、私のような若者たちがベトナムの伝統的陶芸村の歴史を理解できるようになります。この展示会に来た後、一つの陶器を生産するため多くの人々の手間がかかっているということがよく分かるようになりました。」
この展示会は北部にあるいくつかの伝統工芸村だけでなく、ベトナムの国土と人々、文化を紹介しています。ベトナム外務省所属ベトナム美術文化外交委員会のダオ・テイ・リエン・フオン委員長は次のように語りました。
(テープ)
「首相や国家主席などベトナムの指導者はバッチャン村の陶器を各国の指導者に贈り物として使っています。私たちは国外に駐在している大使館や総領事館での飾り物として利用しています。文化外交活動において、国外に駐在しているベトナム大使館はベトナムの陶芸を含め、ベトナムの文化をPRしています」
「陶器の物語」展示会はベトナムの伝統的工芸の維持、保存に寄与するだけでなく、ハノイの観光発展や伝統的文化の維持、保存に寄与することになるでしょう。
以上、「陶器の物語」展示会についてお伝えしました。