伝統衣装アオザイの「魂」を守るデザイナー のヴォー・タオ・ザンさん
(VOVWORLD) -ヴォー・タオ・ザンさんにとってベトナムの伝統衣装アオザイは民族の「魂」であり、この衣装をデザインすることに誇り、感謝、そして敬意を抱いています。
ザンさん |
ザンさんは、幼い頃から、従姉妹の裁縫を手伝ったり、端切れを集めて人形の服を自分で作ったりするなど、ファッションへの情熱を早くから見せていました。しかし、アオザイを身につけ、海外でアオザイを披露するようになって初めて、アオザイへの愛情が本当にほとばしりました。海外の友人が「ベトナムのアオザイ」と呼び、一緒に写真を撮ってほしいと頼むのを見て、彼女は誇りに感じるだけでなく、この美しさを守り、発展させる責任を感じました。これらの経験が、彼女をアオザイデザインの道へと駆り立てました。それは単なる服ではなく、民族の精神、遺産の物語、そして時代の息吹を伝える文化的な象徴なのです。
ザンさんは次のように語っています。
(テープ)
「私は常に文化を起業のてことして考えています。ベトナム文化は非常に多様なので、アイデアが尽きることはありません。例えば、ベトナムにはたくさんの絵画がありますが、私はベトナムの伝統的な絵画のごく一部をアオザイに表現したばかりです。また、ベトナムの古い建築の美しさもアオザイに取り入れることができるテーマとなっています」
ザンさんは、伝統精神を堅持しつつも現代的な要素を取り入れたアオザイのデザインスタイルを追求しています。彼女にとってアオザイは単なる衣装ではなく、ベトナムの文化的アイデンティティを反映する芸術作品です。それぞれのコレクションは、ファッションであるだけでなく、民族の歴史、文化、芸術に関する物語でもあります。「トゥイ・ヴー・ゲン・ヒー」と名付けられたコレクションでは、1950年代から1970年代にかけての古きハノイの少女たちの美しさを、ハンチョン版画の芸術と組み合わせてたたえたいと考えています。彼女は、優雅で控えめでありながら魅力的だったハノイ市民女性のイメージを再現したいと願っています。これは単なるファッションではなく、古きベトナム文化の美しい記憶を保存する方法でもあります。
ベトナム美術館館長のグエン・アイン・ミン博士は、ザンさんが伝統文化をアオザイに取り入れ、特にハンチョン民俗版画と組み合わせた創造性を高く評価し、次のように述べています。
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「ハンチョン民俗版画は、ベトナム美術の遺産の一つです。ハンチョン版画の保存と発展は、現在、美術館の願いです。伝統的なアオザイファッションとハンチョン版画を組み合わせるというアイデアは非常に創造的です。デザイナーのザンさんはハンチョン版画の作品を使用し、それによってそれらのハンチョン版画の作品を一般の人々、特に若者に広め、発展させています」
一方、「ベトナム・カム・ホア」と名付けられたコレクションは、チャンアン景勝地群、ハロン湾、フエ古都、ホイアン、ロン橋などの遺産や景勝地が、精巧な印刷と刺繍技術でアオザイに描かれています。ザンさんは次のように語っています。
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「このアオザイコレクションは、ベトナム全国各地の美しさを語る旅のようです。それぞれの地方は異なるデザインであり、ベトナムの文化と観光の宣伝に貢献しています。アオザイ、つまりファッションの言葉を通して文化を宣伝することは、国内外の一般の人々にアプローチする興味深い方法でもあると私は思います」
強い情熱を持っているにもかかわらず、ザンさんがベトナムのアオザイを世界に紹介する道のりは決して容易ではありませんでした。当初、彼女は伝統文化に関する正確な資料、特に完全に公開されていない古代の模様や図案にアクセスするのに多くの困難に直面しました。さらに、デザインにおいて現代技術と伝統的価値を組み合わせることも大きな課題でした。
複数のプロジェクトの実施でザンさんと協力してきたデザイナーの友人二人は次のように語っています。
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「ザンさんがどれだけ熱心で努力家であるかを見てきました。意味のあるコレクションを作るのは非常に大変で、まことの情熱と多くの知識、探求心が必要です」
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「ザンさんは、伝統的価値の保存を望む若者世代を代表しています。彼女が伝統的な素材をアオザイに取り入れていることは、非常に貴重なことです」
忍耐力と職業への愛情をもって、デザイナーのザンさんは絶え間なく探求し、文化研究者や伝統工芸村の職人たちと協力して、自身のデザインに古くからある価値を復元してきました。将来、彼女はベトナムのアイデンティティを色濃く反映したアオザイコレクションの開発を続けるだけでなく、文化交流活動や国際ファッション展示会を通じてアオザイを世界に広めることを目指しています。