信頼醸成と透明性の拡大に向けての対話



5月29日から、シンガポールで開催されていたシャングリラ対話2015=第14回アジア安全保障会議は5月31日、共同声明を発表し、閉幕しました。声明では地域の安全保障状況が緊張になっている背景の中で、平和、安定、協力、発展の環境を維持するために、信頼醸成や軍事的情報などの透明性の拡大は必至の課題となるとしています。

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14年前に、シンガポールの故リー・クァ ン・ユー首相の提唱により、シャングリラ対話が開始され、これまで地域の重要な安全保障会議となっています。アジアは他の地域の中で群を抜いて、貿易・金 融・国防分野で迅速な発展を遂げている一方、ベトナムの東部海域(南シナ海)の領有権に関する中国といくつかの国との紛争をはじめ、安全保障分野での大き な試練に直面しています。

先頃、中国は紛争中の海域で人工島を建設し、ベトナム東部海域の軍事化を進めるなどして、国際社会の深い懸念を招いています。こうした情勢の中で、今回のシャングリラ対話には38カ国と国際組織からおよそ500人の代表が参加し、その中に多くの国防高官が含まれています。

海上問題に関する共通の立場
対話や個別会見で、各国の代表らはいずれも航行の自由の重要性を強調するとともに関係各国に対し、自制して、武力を行使せず、国際法、中でも1982年国連海洋法条約を遵守するよう呼びかけました。また、各国の国防高官は「協力の成功は信頼、透明性、安全保障メカニズム、及び互恵といった4つの柱に左右される」との見解で一致しました。

アメリカのカーター国防長官は「海上の領有権の紛争は軍事行動ではなく、外交措置にしか解決されるべき。また、ASEANは 中核的な役割を果たす」との見方を示しました。一方、日本の中谷・元防衛大臣は「中国が海上での岩礁の改造により、地域が混乱に陥る恐れがある」と警告す ると同時に中国をはじめ、関係各国に対し、責任感を高め、行動するよう要請しました。

こうした中、シンガポールのウン・エンヘン国防大臣は各側に対し、海上での紛争の解決に際し、自制するよう呼びかけました。他方、シ ンガポールのリー・シェンロン首相は初日の基調講演で、スプラトリー諸島での中国による人工島建設を念頭に、「アメリカは中国 の行動に反応し、係争地域の近くで航空機や艦船の航行を増やしている」と指摘し、緊張の高まりで航行の自由が脅かされるとして、国際法に従った解決を訴え ています。

また、中国とASEAN=東南アジア加盟諸国がCOC=海上行動規範を早期に作成するよう求めました。さらに、日本は地域協力のための新たな指針「シャングリラ対話・イニシアティブ」を提唱し、ASEANによる24時間体制でのこの海の空域監視を提案しました。

今回の対話で、国際社会の懸念に対して、中国人民解放軍の孫建国副総参謀長は責任感ある大国として行動し、国際原則を遵守すると強調しました。また、国連 憲章の遵守は平和を確保するための唯一の仕方であり、中国は各国と共に、信頼醸成を進め、相違を解決するための共通点の模索に取り組むと確約しました。

ベトナム、シャングリラ対話に積極的に参加
ベトナムのグエン・チ・ビン国防次官は第14回 シャングリラ対話に参加した際、関係各国の代表と会合を行い、ベトナム東部海域について話し合いました。ビン次官は「ベトナム東部海域は地域の大きな 関心事となっているから、対話では紛争の回避や国際法の違反の防止を目指す解決策を求める意見が相次いだ。

地域と世界各国はベトナムと同じような立場を取 り、国際法に従って、平等、相互尊重を基礎に、平和的措置で紛争、相違を解決する必要があるとしている」と明らかにしました。なお、今回の対話を通じて、ベトナムと各国は海上の平和、自由、繁栄に向け、力を合わせる姿勢を示しました。


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