ビンモック( Vinh Moc) の地下トンネルは中部クアンチ( Quang Tri) 省ビンリン( Vinh Linh) 県ビンタク( Vinh Thach) 村ビンモック( Vinh Moc) 地区にあります。この地下トンネルはフランスとの戦争のあとの１９５４年のジュネーブ協定によってベトナムが南北に分裂された北緯１７度線にある軍事境界線であったベンハイ川の北側にあります。

ビンモック地下トンネルはアメリカとの戦い、いわゆる、ベトナム戦争当時、地域住民が爆撃を避けるために1965年頃から1972年頃まで掘り続けてきたものです。ビンモック地下トンネルについて、ビンリン村出身のガイド レ・ティ・トゥ・ホアイ( Le Thi To Hoai) さんは次のように語りました。

（テープ）

「ビンモック地下トンネルはビンリン県で掘られた大小１１４の地下トンネルの一つです。これらの地下トンネルの全長はおよそ４２キロメートルです。しかし、これは最も代表的なものです。ビンモック地下トンネルは地元の住民およそ１００人の命を爆弾から守るだけでなく、コンコ島をはじめ、南部戦場への食糧と武器を送るための経由地としても重要な役割を担っています」

クァンチ省は激しい日差しの土地ですが、地下トンネルに入るとすぐに涼しくなります。トンネル内の換気状況は数百もの人々が安全に生活をしたり、戦闘に参加したりすることができます。トンネルの内部は複雑な構造になっており、いくつもの階層が作られています。

当初は比較的浅い場所が掘られていましたが、アメリカ軍の爆撃に耐えうるように次第により深い所まで掘られるようになりました。このため、地下道は3層構造になっており、地下12m、15m、23mに地下道が存在します。クアンチ省文化スポーツ観光局のグェン・ヒュ・タン( Nguyen Huu Thang)局長は次のように語りました。

（テープ）

「戦争中、このビンリン県はアメリカ軍により激しい爆撃を受けたので、地元の住民は地上で生活することができませんでした。それで、故郷で生活できるように、地下トンネルを掘る考えが出ました。4年にわたって、数百人が住み、井戸や台所、集会場やその他生活空間となる部屋が作られていました。中には分娩室もあり、17人以上の子供が産まれました。」

戦争中、ここに住んでいた地元の住民と兵士は地下トンネルにまったく出ませんでした。ですから、地下トンネルには一つの世界ができ、簡単な生活ができる場所でした。全長およそ２キロメートルに及ぶこのビンモック地下トンネルには１２００人が住んでいた時もありました。先ほどのガイド レ・ティ・トゥ・ホアイ( Le Thi To Hoai) さんは次のように語っています。

（テープ）

「アメリカを始め、ここにある戦場に参戦した各国の観光客はこの地下トンネルを訪れた時、だれもが「想像できないほど偉大だ」という考えになりました。当時、地元の人々は粗末な道具で、アメリカの近代的な武器から身を守ったのです」

イタリア人の観光客一人はこのビンモック地下トンネルを見学した後、次のような感想を述べました。

（テープ）

「自分の目で、この地下トンネルを見ることができ、地元の人々を心から敬服しています。これらの風景も見事なものです。ベトナム人は本当に聡明ですね」

ビンモック地下トンネルはクアンチ省におけるきちんと保存されている地下トンネル１００ヶ所の中の一つです。この地下トンネルは現在有名な歴史的遺跡となっており、国内外の多くの観光客を引き付けています。