テト後のこの時期ベトナムでは、新年行事の一環としてレスリング大会が行なわれます。ハノイ市内南のマイドン(MaiDong)村(現在はマイ・ドン区)では、昔から、旧暦1月4日から6日にかけて、レスリング大会が開かれます。
(現場の声)
マイドン村の長老によりますと、この村のレスリング大会の起源はおよそ2千年前だそうです。当時、グェン・タム・チン将軍が村人に豆腐の作り方を教えたり、レスリングを初めとする武術を訓練させていました。それ以来、タム・チン氏が死去した後、マイ・ドン村の人々からレスリングの祖として祀られるようになりました。そして、今日までレスリング大会は維持されてきました。レスリング大会を始める儀式はレスリングの祖の恩を偲ぶ場となっています。
村人のグェン・バン・テェンさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「毎年の旧暦1月4日に、私たちはレスリングの祖を偲ぶ儀式を行います。その直後、レスリング大会を開始します。大会は6日まで開かれます。優勝者は賞金をもらえます。」
レスリング大会は、“レスリングの祖”を祀る神社の境内で開催されます。レスリング選手は全員が男性で上半身は裸、パンツを着用します。選手が紹介されて試合が始まる前には、二人の選手が神社に向かい礼拝をします。試合が始まると、選手は土俵に入り、何か祈りを捧げるような動作をします。そして、しばらく手足を振ったあと、抱き合います。試合形式は自由ですがパンチやキックなどの打撃技、間接技、ヘッドロックなどの締め技などは反則となります。勝敗の分け目は一瞬でも両肩がマットに着いた地点で負けです。
(現場の声)
試合が始まると目が離せません。会場の観戦者の目が釘付けです。見ていて時には力が入り、また、歓声と太鼓の音色を上げてとても賑やかな大会です。
マイドン村のレスリングは村人の人々だけでなく、全国各地の選手の試合となっています。多くの有名選手がマイドン村の試合の場で成長してきまし。どんなレスリング選手でも、マイドン村で受賞することは栄誉だと思っています。同村の元選手グェン・バン・チュウさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「レスリング大会に参加して、優勝できたことは栄誉なことです。というのは、これは先祖から伝わる伝統的な祭りだからです。ですから、後輩の選手諸君は全力で競い合いましょう。」
今年のレスリング大会には、少年男子も含む40人の選手が参加しました。観戦者のブ・テェン・タンさんは次のように語りました。
(テープ)
「長年の伝統を持つこのレスリング大会が現在まで続き、発展していることに嬉しく思います。大会に参加した青少年、中年、高齢者が積極的に競い合い、とても賑やかでした。」
マイドン村のレスリング大会は首都ハノイの新年行事の美意識の文化としていつまでも維持、発展されることでしょう。