ベトナムの北西地域は、美しい自然風景の場所として知られるだけでなく、この地域に住むモン族の衣装、住居、装飾の独自性で人々の目を奪っています。ソンラ省のモン族の女性のピアスの独特な美しさはこの山岳地帯の魅力の一つであるといっても言い過ぎではないでしょう。
モン族の女性にとって耳飾りのピアスは単に装飾品であるだけでなく、モン族の伝統的文化や風俗の価値そのものとなっています。これらのピアスはホワイトシルバーで、そのデザインは地味なものもあれば、派手なものもあります。バクイエン県シムバン村に住むムア・ティ・ミさんは次のように明らかにしています。
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「私は幼い頃からピアスをつけています。ピアスは装飾品であり、モン族の風習だから。特に、遊びに行く時は、一番美しいものを選んでつけます。」
モン族の女性のピアスは使い手の好みによって様々な形があります。しかし、一般的には5種類です。それらは、疑問詞を表わすハテナ型、渦巻き型、三日月型、様々な模様が刻まれた丸型、そして幾何学模様の細かい彫りが施されシャラシャラと動く飾りがついているものです。
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シムバン村のムア・ティ・ゴンさんは次のように語りました。
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「私たちモン族の女性は、普段、4~5歳になるころから、耳に穴を開けて、14~15歳になると、ピアスを付けます。ピアスは日常生活と密接に結び付いているので、農作業や機織をしたり、市場へ買い物をしたりする時も外しません。モン族のピアスは独得で普通にピアスを見るだけで、それがモン族のものだとすぐに分かります。ですから、私たちは、自分たちのピアスに誇りを持っています。」
モン族の女性のピアスはその女性の美しく見せるだけでなく、本人の豊さの表れでもあります。大きなピアスを付けた女性は、健康と真面目な人で、余裕のある生活を送っている人だと思われます。
クアマン村落のハン・ティ・ゾンさんは次のように明らかにしています。
(テープ)
「私たちは、毎日、どんな時でも、ピアスを付けています。ピアスを付けている人は運が良く、悪魔を追い払うことが出来ると信じられているからです。」
現在、モン族のピアスを製造できる職人は少なくなっています。手作りの耳飾りの代わりに、機械で仕上げたものが市場でたくさん売られるようになりました。しかし、モン族の多くの女性たちは、優れた職人に自分自身の趣味のいいものを作ってもらっています。彼女たちにとって、ピアスは自分のアイデンティティそのものだからです。