北部山岳地帯にあるライチャウ( Lai Chau) 省には20の少数民族が共に住んでおり、その中で、ルー族はシンホ( Sin Ho) 県とタムドゥン( Tam Duong) 県に住んでいます。ルー族は現在も民族の伝統文化を保存しています。今日のこの時間はルー族のカム・ムオン( Cam Muong) 祭りについてご紹介いたします。
カム・ムオン祭りは旧暦1月始めから3月3日まで行われます。この祭りはルー族の人々は川の神、山の神、谷川の神様にお供え物を供養し、ルー族の人々の野良仕事が順調に行われると共に、幸運に恵まれることを祈願します。ルー族出身のタオ・バン・コーン( Tao Van Coong) さんは次のように語りました。
（テープ）
「祭りには、それぞれの家族は鶏一羽を供出します。他に、豚とお酒を買うため、お金を出します。ルー族の人々が祭りにお供え物を供養するのは豊作と健康を祈るためです。」
お供物は食べ物の他に、紙でできた緑と黄色の舟18隻があります。緑の舟はルー族が住んでいる広々とした森林を、そして、黄色い舟は米や繁栄を象徴しています。
昔から、ル族のカムムオン祭りは盛大に行われてきました。それぞれの家族は代表者一人をこの祭りに派遣し、供養の儀式に参加します。供養を主催するのは村で信頼されているお年寄りです。供養の儀式に、ルー族の人々は笛や太鼓など何の楽器も使いません。ルー族の人々はこれらの楽器の音色は供養の儀式の神聖さに影響を与えると考えるからです。この供養の儀式は屋内ではなく、村にある大きな木のそばで行われます。ライチャウ省文化スポーツ観光局のドゥ・ハ・ロン( Do Ha Long) 副局長は次のように語りました。
（テープ）
「ルー族は大きな木には神が宿ると考えられています。特に、ベトナム北部山岳地帯にある村々にはいずれも、立ち入り禁止の森があります。村の老若男女、全てがその森林を村の神聖な場所として、きちんと保護しています。彼らはその森は村人を危険から守ると考えています」
現場の音
祭りの儀式の部が終わると、遊戯の部になります。男性たちは笛を吹きますが、女性たちは歌を歌います。そのほか、様々な民族の遊戯も行われます。カムムオン祭りの祈祷師の一人であるタオ・バン・オン( Tao Van On) さんは次のように語りました。
（テープ）
「祭りの3日間、ルー族の人々は薪を拾ったり、野菜を取りに行ったりすることをしません。人々は集まって、存分にご馳走を食べます。また、他の人々は家に入ることも禁止されます。親族が家を訪れる時、軒先にご馳走を食べます」
ライチャウ省のルー族のカムムオン祭りは共同体の文化活動を重視しますから、村人の団結精神を深めることに寄与しています。そうした理由で、今後も、この祭りが維持、保存されることでしょう。