(VOVWORLD) -ベトナム南部にあるソクチャン省では、毎年、旧正月のテト明けに、経済的な理由で学校に来られなくなる子供が増えています。
子供を預かる寺=TTXVN |
ソクチャン省の教育部門の課題となっているこの不登校を改善するため、関連部門が地元の団体や個人に支援を呼びかけました。恵まれない子供達のために、多くの団体がこの呼びかけに応えましたが、そのうちの一つに21人の子供を預かる寺があります。
省都のソクチャン市から南へおよそ60キロの所にあるこの寺で生活するのは、11歳から18歳までの男子です。孤児で身寄りがない、または家が貧困状態にあってたくさんの子供を養育できないという理由で、学校へ通えなくなった子供達です。寺に来てからは通学できるようになり、ここでは食事から何から生活全般の面倒をみてもらえます。
多少の娯楽も楽しめたり運動などもできる他、寺の僧侶からは仏教経典を教えてもらえます。
寺の副住職の話です。
(テープ)
「地元の人達の生活が苦しいのを知って、恵まれない子供達を受け入れることにしました。子供達が勉強を続けられるよう、少しでも手助けできればと思っています。」
寺に住む小学校5年生の話です。
(テープ)
「自分には5人の兄弟がいます。前は学校へ行くために、毎日、家の近くにある川で魚を獲って売っていました。でも、どんどん貧しくなってきて、学校を休むようになりました。おばあちゃんが僕を寺に預けました。それからは、また学校に行けるようになりました。」
寺はいつも子供の笑い声や話し声でにぎやかです。学校以外の時間は、一緒に運動したり、遊んだりします。およそ1年前に寺に来たという中学校2年生の話です。
(テープ)
「ここには友達がたくさんいるので、とても嬉しいです。自分は孤児なので、僧侶のみなさんを親だと思っています。いつも勉強をがんばるよう励ましてもらっています。」
ソクチャン省の行政府も、こういった子供達への対策を考えています。担当者の話です。
(テープ)
「寺が、恵まれない子供を受け入れて養育するということは、社会的に重要な意義を持っています。実際、それで貧しい家の子供達が、教育を受けることができています。このような子供達が勉強を続けられるよう、この寺のような施設をさらに増やすことができるように、それぞれの現地の行政府に働きかけています。」
これまで、寺で預かった子供が一番多かった時には、40人にもなったということです。ソクチャン省に住む子供だけでなく、ベトナム南部のメコンデルタ地域の他の省からの子供もいました。自立した子供達は、高校を卒業後、安定した仕事について、堅実な生活を送っています。 先ほどの寺の副住職の話です。
(テープ)
「今の時代、どこでも才能や知識のある人は必要とされています。そういう人がいなければ、世の中は発展していかないでしょう。恵まれない子供の養育というのは、自らの能力を活かして社会の役に立つ人を育てるということなのです。」
こういった寺の僧侶の支援によって、将来ある子供達が復学できているのです。