(VOVWORLD) - 西南部に暮らしている少数民族クメール族にとって寺院は仏教の修行を行う施設であるだけでなく、住民に文字、道徳、価値観などを教える場所でもあります。南部メコンデルタのソクチャン省にはクメール族の寺院が92か所ありますが、全ての寺院はクメール語教室を開いています。
ターモン寺のクメール語教室 |
ソクチャン省の人口は130万人以上で、その3割が少数民族クメール族です。上座部仏教を信じるクメール族の寺が夏になると、クメール語教室を開くことは長年のことです。これらの教室は民族や性別、年齢を問わず、全ての生徒を受け入れています。教師は僧侶、あるいはボランティアですが、学費は無料で、貧しい生徒にはノートやペンなどの教材が寺から無料でもらえます。広い寺では境内で教室が開かれますが、そうではない寺は村の集会所などを借りて教室を開きます。ソクチャン省チャンデ―県ビエンビン村にあるターモン寺のクメール語教室を担当するキム・チ・タイン僧侶は次のように語りました。
(テープ)
「ターモン寺は年によって異なりますが、夏に3、4の教室を開きます。今年は小学校1年から3年にあたる教室が3つあります。小学生は夏になると、寺へ行ってクメール語を勉強します。私は長年教えていますが、教室の教師のほとんどは寺の僧侶です。クメール族であれば、誰もがクメール語でしゃべってクメール語の文字を読み書きできるという希望を持っています」
寺は貧しい生徒にノートやペンなどの教材を無料であげるほか、遠いところから来た教師と生徒向けの寮を建てた寺もあります。ターモン寺の教室に通っているズオン・チエウ・アン君は次のように話しました。
(テープ)
「私がターモン寺の教室に入ったのは1年前のことです。クメール語の文字を読み書きできるようになりました。先生から関心を受けていろいろと教えてもらいました。これからも私たちと同様、より多くの子どもがクメール語教育を受けるように、引き続きクメール語教室を開いてもらいたいです。私は先生のご指導に応えるように一生懸命勉強します。将来、よい社会人になりたいです」
子どもにクメール族の風俗習慣を教えている僧侶 |
生徒が増えつつありますが、各寺は、教室と教師が足りません。教師のほとんどは教師を育成するコースに参加したことがないため、教え方を互いに教え合っています。しかし、クメール語の保存に対する意識が高く、熱心に教えています。この認識はクメール族の多くの人々にも広がっています。ソクチャン省ソクチャン市にあるソムロン寺の副住職ラム・ビン・タイン大徳は次のように語りました。
(テープ)
「ソムロン寺は毎年の夏に、子どもを対象とするクメール語教室を開いています。教室は毎日、朝8時から10時までですが、日曜日は休みです。毎年は2つの教室を開きますが、今年はまだ1つ開いています。間もなく開く予定です」
教室で生徒たちはクメール語のほか、クメール族の風俗習慣や儀式、信仰などについても教えてもらっています。これは生徒の成長はもちろん、クメール族の伝統文化の保存にも役立つと評されています。ビンチヤウ町ライホア村に暮らす小学生タック・タイン・サン君の話です。
(テープ)
「去年、プレーチョップ寺で夏の教室に通っていました。クメール語の読み書きができたし、クメール族の文化についていろいろな知識を身につけられました。今年もまた通っています。とても有益です。これからもより多くの教室を開いてもらいたいです」
現在、 ソクチャン省は、クメール語教育を強化するため、教師育成や教材提供などの支援措置をとって寺の取り組みを広げようとしています。