母性愛がひそむカオラン族のチマキ

(VOVWORLD) - ベトナム東北部に居住している少数民族カオラン族は豊かな食文化を誇っています。その中で、鳥のカッコウの形をしたチマキは地味な食べ物ですが、カオラン族の食文化の精神を示すものであると言えます。
母性愛がひそむカオラン族のチマキ - ảnh 1チマキ「ガウ」

カオラン族の言葉で鳥のカッコウを意味する「ガウ(Gau)」と呼ばれるこのチマキはその名の通り、カッコウの形をしています。カオラン族の女性たちは、チマキ「ガウ」をつくるため、まず、山に野生のパイナップルの葉を取りに行きます。野生のパイナップルの葉はチマキに独特な味と香りを与えるとともに、胃にもいいとされています。野生のパイナップルの葉を洗った後、固い部分を取り除き、カッコウの形になるように編みます。その後、約1時間水に浸したもち米を入れますが、美味しいチマキをつくるコツとしてはもち米をしっかりと入れないようにすることと、もち米と一緒にちょっとした塩を入れることです。そして、1時間ぐらい茹でますが、茹でるときに火を均一にし、チマキが常に水に浸かるように定期的に水を加えなければなりません。

原料はもち米と塩だけであるというチマキ「ガウ」のほか、青豆と豚肉を餡にする「ガウ」もあります。また、森の中にはえている木の葉を利用してもち米を染める人もいます。イエンバイ省に暮らすホアン・ティ・トゥさんは次のように語りました。

(テープ)

「かつては、チマキ『ガウ』には餡がありませんでしたですが、現在は、自分の好みによって作ってもいいとされています。緑豆を餡にして『ガウ』をつくるのが一般的です」

チマキ「ガウ」は単純な食べ物ですが、カオラン族に大切にされている理由は「ガウ」に関する伝説が昔から伝わっていることにあります。

母性愛がひそむカオラン族のチマキ - ảnh 2チマキ「ガウ」を茹でているカオラン族の女性

伝説によりますと、カオラン族の伝説的人物「スラウ・スラム」が道を歩いていると、道端にそのうにゴマがいっぱい詰まったまま、カッコウが死んでいるのを見つけました。ほどちかくに、野生のパイナップルの茂みの中でヒヨコのかすかな鳴き声が聞こえます。スラウ・スラムは、ゴマの種がそのうの中で膨らみ、赤ちゃんに種を持ち帰る前に母鳥が窒息して死んだことに気づきました。スラウ・スラムは、母鳥とヒヨコの神聖な母性愛に涙を流しながら、母鳥のそのうからゴマをとりだし、ヒヨコに食べさせ、パイナップルの葉でかごを作って、ヒヨコたちを家に持ち帰りました。そこでスラウ・スラムは、鳥にも母性愛があるのに、人間に母性愛があるのは当たり前だと思いました。それ以来、スラウ・スラムはカオラン族の人々にチマキ「ガウ」の作り方を教えたということです。

ビンフック省ソンロ県クアンイエン村に住むダオ・ティ・ズンさんは、現在も、こうした意義深いチマキ「ガウ」は昔と変わらず、カオラン族の生活に欠かせない存在であると述べ、次のように語りました。

(テープ)

「子どもや孫を訪ねるときや、お祭り、行事の時にはカオラン族の人々は常に、チマキ『ガウ』を食べます。母性愛のほか、家族内の愛情を象徴しているからです。また、『ガウ』をつくる時、必ず野生のパイナップルの葉を使わなければなりません」

チマキ「ガウ」は、カオラン族の食文化を示す代表的な食べ物であり、カオラン族の人生観の現われであると言えるでしょう。

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