(VOVWORLD) - 2018年9月21日はベトナム・日本外交関係樹立45周年記念日です。今日のこの時間はこの意義深い出来事を記念する特集番組をお送りします。
アン 多くの政治家とアナリストは、ベトナム・日本の友好協力関係は最盛期に入っていると評価していますが、実際、その評価の正しさが分かります。この25年間、両国関係は政治をはじめ、外交、経済、文化、社会などあらゆる分野で、かつないほど良好に発展し、多大な成果を収めてきました。その中で、政治関係は原動力、経済は柱、文化協力は土台と見られています。先ず、ゴックさんとともに、両国間の政治関係を振り返ってみましょう。
ゴック ベトナムと日本の関係は迅速かつ着実に発展していることは否めません。両国の指導者による相互訪問、とりわけ、2017年初めに行なわれた天皇・皇后両陛下のベトナムのご訪問と今年6月のチャン・ダイ・クアン国家主席による日本国賓訪問はその証であると同時に国際関係において珍重な相互信頼をつくる要素となっています。在日本ベトナム大使館のグエン・クォク・クオン大使は次のように語りました。
(テープ)
「現在、両国は、「アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナー シップ」を構築しました。これからの両国の最も重要な方針は、そのパートナーシップをさらに深化させていくことです。」
二国間関係に限らず、両国は国連やAPEC=アジア太平洋経済協力会議、ASEAN=東南アジア諸国連合などの国際場裏で連携を強化しつつあります。特に、ベトナムは日本の国連安全保障理事会常任理事国入りを支持しています。こうした信頼ある政治関係は、両国の全面的な協力の発展に弾みをつけるとしています。在ベトナム日本大使館の梅田邦夫大使は次のように強調しています。
(日本語テープ)
(ジングル)
アン ゴックさん、ありがとうございます。続いて、ソンさんが両国間の経済協力の主な情報をまとめてお伝えします。
ソン ベトナムと日本の経済関係については、マスメディアや報告などで大きく取り上げられている数字や統計などを引用するもでもなく、だれもがその関係の成果と利益を十分に理解することでしょう。その成果は、日本の無償援助で僻地・貧困地帯に建設された小学校や保育園などの小規模な工事から、日本のODA政府開発援助によって建設された空港ターミナルや、鉄道、道路・橋梁などの大規模な工事などに現れています。 日本は、貿易・投資・ODAを3本柱としてベトナムの経済発展を支援していると言えます。日本にとってベトナムは地理的にも外交の面でも重要な地位を占めていることから、ベトナムの国づくりと経済成長を支援することは重要な使命とされています。貧困解消を目指す経済成長というベトナムの立場を分かち合う日本は、この3本柱に基づいて、ベトナムのインフラ整備、外国投資の誘致、雇用創出を積極的に支援しています。また、日本は投資経営環境の改善、市場経済発展戦略の策定、法整備なども支援しており、その中にも、ベトナムの投資環境を改善し,外国投資を拡大することを通じて,ベトナムの産業競争力を高めることを目指す「日越共同イニシアチブ」があります。両国の経済協力は社会福祉面にも広がっています。この分野では、日本は、ベトナムのインフラ整備と人材育成を支援することを重視しています。チョーライ病院、バクマイ病院、フエ中央病院の改善プロジェクトを始め、麻疹や鳥インフルエンザなどの感染病に対する対応能力の向上、国民健康増進、貧困解消、環境保護、水道などの分野におけるプロジェクトはその証です。 両国の経済協力の新しい方向について、JETRO日本貿易振興機構ハノイ事務所の北川浩伸所長に伺いました。北川所長は次のように語っています。
(日本語のテープ)
(ジングル)
アン ソンさん、ありがとうございます。ここで、しばらくティタイムにして、歌を一曲お送りします。
(歌:青い空は)
アン お聴き頂いた歌は、小森香子作詞・大西進作曲の「青い空は」でした。この歌は、両国国民間の深い関係を示す証です。そして、ベトナム戦争中に、反戦の意味を込めて日本で幅広く歌われていただけでなく、VOV専属歌手が歌っていたこともありました。特に、今年1月末に、大西氏の指揮の下、VOVのスタッフとご高齢の小森さんをはじめ日本人リスナーとの特別な交流会でも歌われました。では、次に、両国間の文化協力についてお話します。これは両国間の多面的協力の土台と見られています。ハさんからお願いします。
ハ これは幅広い分野であり、様々な活動を含んでいます。例えば、ボランティアの派遣や、両国での交流活動の開催、言語教育、観光などです。「基盤である」といった理由は、お互いに異文化を理解しなければ、お互いの言語、習慣の理解、相互尊重などに関わる多くの障壁が発生するからです。ボランティア派遣について、日本の海外ボランティア派遣は1995年に開始されました。当初はハノイ市への日本語教師派遣に限られていました。しかし、ボランティアとしての勤勉さが高く評価されたため、海外ボランティア派遣は、医療、教育、文化遺産の保存、裾野産業、民間経済セクターなどの分野にも拡大されるようになりました。派遣先の人々と常に接触し、交流し合う日本のボランティアたちは、日本とベトナムを結び付ける架け橋としての役割を果たしています。あるボランティアの話です。
(日本語のテープ)
その一方で、観光協力は、予想外の大きな成果を遂げています。世界で最も物価の高い日本は、ベトナム人観光客にとって日本への旅行は難しいと思っていたはずなのに、この2~3年、花見や買い物という目的で日本を旅行するベトナム人観光客が急増しています。このことにより、日本の一連の旅行会社は、期待できる市場としてのベトナムに観光のサービスと商品のPRを推進しなければなりませんでした。国際交流基金ベトナム日本文化交流センターの安藤敏毅所長は次のように明らかにしています。
(日本語テープ)
文化交流活動について、この数年間、この活動は、質的にも量的にも増加しています。「ベトナム・ジャパンフェスティバル」という越日交流イベントなどは常時にそれぞれの国で開催されています。
(ジングル)
アン こうした中、両国間の新しい発展方向を定めることは重要な意義があると見られています。特に、保護主義が台頭し、領海紛争など不安定状況が続いている背景の中で、共通の目的と利益を持つベトナムと日本にとって、これは差し迫った問題となっています。実際、数年前から、両国は、二国間と多国間の場で、多くの新しい協力活動を開始しました。これに関し、ホアイさんがまとめてお伝えします。
ホアイ アメリカのトランプ大統領がTPP=環太平洋経済連携協定から離脱したことを発表した後、ベトナムと日本はアメリカ抜きのTPPの批准に向け協力を強化してきました。その結果、今年3月8日、チリで、ベトナムと日本を含め、世界11カ国はCPTPP=包括的かつ先進的環太平洋経済連携協定に署名しました。これはトランプ大統領が実施している保護主義政策への効果的な対策と言えます。茂木敏充経済財政・再生大臣はCPTPPの締結に対するベトナムの効果的な協力に感謝の意を表明しました。茂木大臣は、VOVの記者のインタビューに答えた際、次のように語りました。
(日本語のテープ)
両国間のもう一つの協力活動は海洋経済と海上の安全保障分野です。ベトナムと日本はいずれも、海洋資源が豊富に恵まれており、近隣諸国と海洋の領有権争いがあることから、この分野における協力は必然と言えます。
2014年5月30日、シンガポールで開かれた第13回アジア安全保障会議(通称:シャングリラ・ダイアローグ)で、安倍首相は基調講演を行い、その中で、「いまこそ、南シナ海の、すべての当事国が約束した2002年行動宣言、あのDOCの精神と規定に立ち返り、後戻りができなくなる変化や、物理的な変更を伴う一方的行動をとらないという、固い約束を交わすべき時ではないでしょうか。」と強調すると共に、「ベトナムが、対話を通じて問題を解決しようとしていることを、同様に支持します。」と強調しました。この時点で発表された安倍首相のこの発言は、強権的政治・外交行動への宣戦布告とされていましたが、これは海上問題に関するベトナムと日本との協力の始まりとなりました。近い将来、これは両国間の協力における柱の一つとなることを確信しています。
宇宙技術も両国の協力関係の展望の一つとなっています。2011年に、この分野における大規模プロジェクトが展開し始めました。ベトナム初の宇宙センターがハノイにあるホアラック・ハイテクパークで建設されました。総工費544億円のうち466億円をODA日本の政府開発援助で賄います。2020年までに、国産人工衛星の保有を目指しています。同センターはホアラクパーク内の9ヘクタールに、衛星運用・データ利用センター、研究開発棟、図書室、宇宙博物館などを整備します。完成したあかつきには、高解像度の小型衛星を作るための技術導入を進める他、自然災害の監視と早期予測、農業生産高、水産物の水揚げ高の予測、気候変動対応のための研究などの任務を担います。これはかつてなかった分野における両国の協力の礎とされています。
数年前に出てきた新しい動きがあります。それはベトナム企業が日本へ投資するという動きです。これまで、日本企業はベトナムに巨額を投資してきましたが、ベトナム企業が日本へ投資活動をすることはあまりありませんでした。しかし、最近、いくつかのベトナム企業が日本を投資先として検討し始めています。高齢化社会が進み、人材不足状態に陥っているとはいえ、経済市場が大きい日本はベトナム企業にとって魅力的な投資先となっています。特に、ベトナム企業は日本を信頼し、透明性が高く、リスクが低い市場と評しています。現時点で、ベトナム企業は日本に35件の投資プロジェクトを展開しており、その投資総額はおよそ700万ドルです。その投資額はまだ少ないとはいえ、両国間の投資協力における新たな動きを示しています。これらを踏まえて、2016年7月からJETRO=日本貿易振興機構はベトナム計画投資省と協力して、ハノイでの貿易振興セミナーを行いました。しかし、これまで行われた貿易振興会議と違って、今回のセミナーで、日本の代表はベトナム投資家に対し、日本への投資を呼びかけました。両国の取り組みにより、近い将来、ベトナムは日本への投資国のリストにおける高い地位に入ることが期待されています。
(ジングル)
アン この特集番組が終わる前に、両国間の深い関係を示す幾つかのエピソードをご紹介します。先ず、村レベルの博物館です。ベトナムでは、村レベルの博物館はかつないものですが、これは事実です。この博物館はハノイ郊外の紅河沿えのキムラン村にあります。ベトナムの考古学活動に全生涯を捧げ、48歳で急逝した西村昌也(にしむら・まさなり)氏を含め、ベトナムを愛する多くの日本人の寄付金により建設されました。次の例は、北部山岳地帯の貧しい集落に住むご高齢の女性に関する物語です。2011年3月に東日本大震災が発生したことを受け、当時80歳を超えたこのおばあさんはVOV日本語放送を通じて、日本人の被災者のために2キロのタピオカを救援物資として送ってきました。「二年前、日本人の支援により、集落に小学校が建設されたね。今、彼らは地震で、人的物的被害を受けているので、助けるのは当たり前だ」と話しました。その気持ちで、おばあさんの2キロのタピオカは意味深いものとなりました。それらの人々の気持ちや、努力などにより、今後も日越関係がさらに発展していくことを願っています。
(ジングル)
アン こちらはベトナムの声放送局で、これで、この時間の日本語放送が終わります。リスナーの皆さん、さよなら。