2013年の中東・北アフリカの情勢

2013年にも、中東地域の情勢の不安が続いていました。シリア内戦や、エジプトの混乱、イラクでの衝突などはその例となっています。このため、この地域は世界の最も危険なところと評されています。


2013年の中東・北アフリカの情勢 - ảnh 1
戦火が続くシリア(写真:AP)

まず、シリア内戦です。 OHCHR=国連人権高等弁務官事務所のルパート・コルビル報道官は7日、これまで国連が発表してきたシリア内戦の死者数について、「事実確認ができなくなった」として、「当面の間は新たな情報を出さない」と述べました。国連は昨年昨年7月、内戦の死者は「少なくとも10万人以上」としていました。一方、イギリスに本部を置くNGO「シリア人権監視機構」は昨年末、シリアで反体制デモが本格化した2011年3月以降の死者は、13万人を超えたとの独自集計を出しています。

次は、イスラエルとパレスチナ間の和平プロセスです。アメリカなどの努力にもかかわらず、この両国はまだ合意を達成していません。イスラエルは、ガザ地区を空爆するほか、パレスチナ側が和平交渉の条件として求めている入植地建設の中止を拒否しています。このため、中東和平プロセスが行き詰まり状態から脱出できていません。

エジプト情勢も不安定が続いています。エジプト各地で3日にも、ムルシ前大統領の出身組織ムスリム同胞団の支持者らによる「反クーデター」デモがありました。カイロやアレクサンドリアなど複数の都市で、治安部隊の発砲などによりデモ参加者ら計19人が死亡しました。エジプトでは、殺人扇動などの罪で起訴されたムルシ前大統領の公判、14日から15日に憲法改正案の国民投票が予定されています。デモ参加者らは、公判と国民投票の両方に反発しています。

イラクでの衝突も増しています。国連イラク支援団によりますと、テロが続くイラクで2013年の民間人死者が7818人を超え、比較可能な2008年以降で最悪になりました。宗派対立に加え、内戦が深刻化する隣国シリアからイスラ ム過激派が流れ込んでいます。アルカイダ系武装組織「ISIL=イラク・レバントのイスラム国」が中部のファルージャを占拠するなど、アメリカ軍撤退後2年を経てなお治安悪化に歯止めが掛からない状況です。

イラン核問題に関しては、関係者らが合意を達成したものの、これは一時的なものに過ぎず、徹底的な解決策がまだありません。

こうした中、アナリストらは「シリア内戦や、中東和平プロセス、イラクでのテロなどの行き詰まり状態の打開策がまだ出ていないことから、2014年にもこの地域の情勢は不安が増す」との懸念を示しています。

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