2016年を振り返ってみると、難民問題は最も深刻な国際問題だったと言えるでしょう。この問題の有効な解決策がまだ見えていない中で、2017年はさらに深刻になる恐れがあります。
ヨーロッパに流入した難民(写真:AFP/TTXVN)
難民死者 過去最多
2016年、地中海を渡ってヨーロッパに入った難民の数は2015年より少なくなったものの、地中海で死亡した難民は過去最多の5000人にのぼっており、前年と比べ25%増にもなりました。
(ユニセフ)国連児童基金、(UNHCR)国連難民高等弁務官事務所などは今年の2月に、トルコなどから欧州に向け地中海を渡ろうとして船が遭難、溺死する子供が増加傾向にあり、1日平均2人の子供が犠牲になっているとの共同声明を出しました。
ヨーロッパに流入した難民の9割はシリア、アフガニスタン、イラクなど内戦や紛争が起きている国から来ました。これらの内戦や紛争が近い将来解決される兆しはまだ見えてこないため、2017年、ヨーロッパは依然として難民危機に直面し続けると見られています。
問題解決の不一致
こうした中、難民問題の解決について関係各国の間に不一致が浮き彫りとなっています。11月にベルギーで開かれたEU欧州連合内相会議で、ドイツのトーマス・デメジエールー内相は、難民問題をめぐってEU加盟各国に亀裂が入っていると認めました。
EUでは2015年、加盟国の多数決で難民の分担策を決めましたが、ハンガリーなど東欧4カ国が反対しています。同国とスロバキアはEU司法裁判所に提訴もしています。
2015年、EUは2年間のうち、イタリアとギリシャに入国した難民16万人を再定住させる計画を採択しましたが、現時点で、定住が図られた難民は3%未満しか達していません。欧州委員会は加盟諸国に対し、難民再定住計画の展開を加速するよう促しました。しかし、オーストリア、ハンガリー、ポーランドが難民を受け入れないという姿勢を変える兆しは全くありません。
これにより、2017年、EUの難民問題は行き詰まり状態のままで、ヨーロッパだけでなく、世界の平和と安定にも悪影響を与えてゆくでしょう。