2021年の米中関係の動向

(VOVWORLD) -2021年、アメリカと中国との関係には多くの変動がありました。しかし、その緊張関係は緩和されていないものの、双方はいくつかの分野における対話と協力を強化する意向があります。
2021年の米中関係の動向 - ảnh 111月に行われたバイデン大統領と習近平国家主席との電話会談
(写真:ロイター)

2021年1月20日に、民主党の代表であるバイデン氏がアメリカの大統領に就任したことにより、アメリカと中国との緊張関係がトランプ政権より緩和されるとの予測が出されましたが、実際、2021年通年、米中関係は引き続き緊張していました。対立と激しい競争は外交、経済、貿易、科学技術など多くの分野で続いています。

世界のアナリストらは2021年、米中関係が第2次世界大戦以来最悪の状態にあると評しています。

対立と激しい競争が続く米中関係

アメリカ大統領に就任した直後、バイデン大統領は包括的な国家戦略「国家安全保障戦略」策定に向けた暫定指針を発表しました。中国について、経済・外交・軍事・技術力を結集し、国際システムに持続的に挑戦する能力がある「唯一の競争相手」と位置付けました。同盟国との連携や、アメリカの国際的な指導力の回復で対抗すると訴えました。

これを基礎に、バイデン大統領を含むG7首脳は、中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」に匹敵する途上国向けの新たなインフラ支援構想「Build Back Better World (B3W)」を導入することで合意しました。大規模なインフラ支援を途上国に提供することで、増大しつつある中国の影響力に対抗する狙いです。

その他、アメリカは中国の大手通信機器メーカーであるファーウェイ(華為技術)や中国通信機器大手のZTEに対する制裁措置を強化すると共に、国家安全保障上の容認できないリスクをもたらすとみなされた中国製の通信機器に対して今後、認証を付与しないとする規則を提案しました。

アメリカのこれらの動きを前に、中国は強固な立場を確保すると共に、国内の力と国際社会における地位向上のため、具体的な行動をとっています。2021年6月、中国は外国からの制裁に対する中国の対抗措置を定めた反外国制裁法を可決、成立しました。

対話と協力の趨勢を維持

アメリカと中国との関係には多くの分野における対立が続いている一方、両国は多くのハイレベル対話を行ってきました。例えば、2021年3月にアラスカ州アンカレジで開かれた中米ハイレベル戦略対話や7月に中国の天津で行われた米中外交当局者の直接対話、11月に行われたアメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席との電話会談などです。

これらのハイレベル対話が連続して開かれたことは両国が対話を行う意向があることを示していると言えます。その他、2021年に、両国間の貿易紛争が激しくなったものの1月~7月までの両国間の取引総額が前の年と比べて40%増となりました。

また、11月、イギリスのグラスゴーで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議で中国とアメリカの政府代表団が気候変動対策をともに強化するとする共同宣言を出しました。これは同月に開かれたオンライン首脳会談と共に、国際的な場で歩み寄りをみせた形とされています。

 

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