(VOVWORLD) -9月11日のアメリカ同時多発テロ事件から20年が経ちましたが、多くの人々にとって、今もなお、そのテロにかかわる恐ろしい記憶が鮮明に脳裏に焼きついています。
(写真: Getty)
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2001年の同時多発テロ事件により、世界78か国の市民およそ3000人が死亡、2万5000人以上が負傷し、長期にわたる健康被害に加えて、少なくとも100億ドルのインフラ・財産の損害が発生しました。それ以来、アメリカ史上で、テロとの最も長い戦争も開始されました。
終わりのない戦争
統計によりますと、2001年以来、アメリカ政府がアフガニスタン、パキスタン、イラク、シリア、イエメンなど世界規模で展開されてきた対テロ戦争に費やしたのは6兆4000億ドル(約678兆円)以上にのぼっています。
この戦争で、アメリカは一定の成果を収めました。具体的に、国際テロ組織アルカイダ創始者のウサマ・ビンラディン容疑者が殺害されたことやアメリカで計画されたテロ行為の阻止、過激派組織IS=「イスラム国」がある程度衰退しているということです。特に、2019年10月、武装組織「イスラム国」の指導者アブ・バクル・アル・バグダディ容疑者をシリア北西部で行われた米軍事作戦で殺害したことはテロとの戦いに転換点を作り出すとされました。
しかし、専門家らはアメリカが主導している対テロ戦争は一定の成果を収めましたが、テロリズムが終息することはなく、実際に、複雑な動きに発展しているとしています。
現在、アフガニスタンで、アメリカが軍を撤退し、武装勢力タリバンが政権を握っていますが、ここで発生している不安定情勢がアフガニスタンの平和構築にとって大きな試練となっています。一方、イラクでアメリカはISを敗北させたと宣言しましたが、ISの復活の恐れもあります。
残されている教訓
2001年のアメリカ同時多発テロ事件を見て、アメリカを始め、世界各国はテロリズムが国境を越えて世界各国に広がっていることが分かるようになっています。治安秩序と安全保障を強化することはいかなるテロの陰謀を阻止するためのカギとなっています。
さる8月31日、アメリカのバイデン大統領はホワイトハウスで国民向けに演説し、「アフガニスタンでの戦争は今、終わった」と述べ、米同時多発テロをきっかけに始まった20年間の「米史上最長の戦争」の終結を宣言しました。しかし、テロとの戦いをアメリカの安全保障の第一の目標と位置付けています。アメリカ同時多発テロ事件から20年が経ちましたが、残された教訓は深い意義を持ち続けることでしょう。