ASEANとアメリカとの戦略的パートナー関係を促進
アメリカのオバマ大統領は、ASEAN=東南アジア諸国連合加盟10か国の首脳を初めてアメリカに招待し、15日と16日の両日、カリフォルニア州にある保養施設のサニーランズで、首脳会議を開催し、ベトナムからはグエン・タン・ズン首相率いる代表団が臨みました。オバマ大統領としては、各国と関係強化を図り、ベトナムの東部海域いわゆる南シナ海問題で対立する中国をけん制するねらいがあるものとみられます。
ホワイトハウスは、「アメリカがASEAN諸国の首脳を招いて開く前例のない会議で、オバマ政権のアジア重視政策を前進させるものになる」と強調しています。会議では、2つの討論会が行なわれ、ASEAN経済共同体の発展やアジア太平洋地域の平和、繁栄、安全保障、航行の自由の確保、テロ防止対策、国境を越える試練への対応などの問題が討議されます。
ASEAN・アメリカの戦略的パートナー関係の強化
ASEANとアメリカは1977年に対話関係を、2005年にパートナー関係を樹立して以来、政治・安全保障、経済・貿易、文化・社会などの分野で具体的な協力体制を実施してきました。2015年11月、マレーシアの首都クアラルンプールで開催された第3回ASEAN・アメリカ首脳会議で、双方は戦略的パートナー関係を確立した上で、2020年までのASEAN・アメリカ戦略的パートナー関係を発展させる行動計画を採択しました。この会議で、オバマ大統領はASEAN諸国の首脳をアメリカで開催される首脳会議に招待しました。アメリカはASEANとの関係をリバランス政策の中核として見做し、ASEANの安全保障、とりわけ航行の自由の確保能力の向上を積極的に支援しています。また、双方はテロ防止対策や、核拡散防止条約、サイバーセキュリティ、越境犯罪防止対策などの分野で緊密に協力しています。現在、アメリカはASEANの第一の投資、貿易相手となり、科学技術、教育、疫病の予防、エネルギー安全保障、自然災害への対応で協力が促進され、気候変動への対応は優先的な協力分野となっています。ASEAN共同体が構築された直後開催された今回の首脳会議は双方の戦略的パートナー関係の促進に寄与すると評されています。
新たな段階におけるASEAN・アメリカの協力計画
アナリストらによりますと、サニーランズで開催中のASEAN・アメリカ首脳会議は特別な意義があり、2016年におけるASEAN初の重要な会議でもあります。また、ASEANとアメリカの戦略的パートナー関係の深化を目指す諸措置を討議する場ともなっています。さらに、今回、ASEANとアメリカの協力発展に関する具体的な原則や、段取りが定められ、アジア太平洋の平和、安定、発展の確保に寄与すると期待されています。
これまで、中国は地域の緊張情勢をエスカレートさせる一方的な行動を起こしてきました。こうした事情を踏まえ、会議では、中国が人工島の造成を進めている問題などを巡って意見が交わされ、オバマ大統領は、航行の自由を確保し、国際法に基づいて問題を平和的に解決することが重要だと訴える見通しです。会議を前に、アメリカのニナ・ハチジャンASEAN大使は「ASEAN・アメリカ首脳会議はオバマ大統領が就任以来、堅持しているアジア太平洋を重視する外交政策で重要な役割を果たしている。会議を機に、オバマ大統領はASEAN・アメリカ関係の重要性を強調するとともに、次代大統領に東南アジア地域を外交政策の優先対象として見做し続けるよう勧める」と明らかにしました。
ベトナムはこの首脳会議の際に、ASEAN加盟国として主体的かつ積極的な役割を表すと同時に、ASEAN・アメリカ戦略的パートナー関係の促進に貢献する決意を表明しました。