
2012年、ASEAN=東南アジア諸国連合は様々な試練や困難に直面しているものの、多くの成果を収めています。ASEANは共同体づくりを優先課題として進めるとともに、ASEAN内の問題解決に取り組んできました。ASEANの異口同音は団結で統一したASEANを構築するための鍵となるとみられます。この45年間、ASEANは発展に際し、多くの試練を乗り越えてきましたが、2012年は多くの問題が浮上した年です。
7月、カンボジアで開催されたASEAN外相会議はベトナム東部海域(いわゆる南シナ海問題)に関する対立で、共同声明を採択できませんでした。これは異例のことです。ただ、ASEANは団結精神を掲げ、また、適切な解決策を模索した結果、6原則で合意を達成しました。加盟10カ国は歴史、文化、発展度合、政治社会体制などに関し、様々な相違点がありますが、ASEANの利益を第一に位置づけたため、複雑で敏感な問題を解決できるようになりました。ベトナム外務省・ASEAN局のグエン・ティエン・ミン局長は次のように語りました。
(テープ)
「第45回ASEAN外相会議は共同声明を採択できなかったことを受け、加盟諸国はいずれも、これはASEANに大きな被害を与え、克服されなければ、ASEANが危機に陥る恐れがあることをよく認識しました。それで、加盟諸国はインドネシアが提案した6原則を早期に採択しました。加盟諸国は団結の強化に向け具体的な行動を起こしました。」
ミン局長はこのように語りました。
ASEANはベトナム東部海域の平和、安定、安全保障の維持は地域諸国にとって重要な意義があるという立場で一致しました。また、DOC=行動宣言を十分に実施するとともに、COC=行動規範の作成を進め、国際法に従って紛争を解決することでも合意しました。
「ASEAN一つの共同体・一つの運命」をテーマとして、2012年におけるASEANの協力は協調性を見せました。2015年までの共同体づくりに向け、ASEANは平和・和解研究所を設立するとともに人権宣言を採択しました。これはASEANの政治・安全保障を柱とする共同体づくりでの重要な前進であり、「多様性の中の統一」といったASEANの活動原則に合致したものです。先ほどのグエン・ティエン・ミン局長は次のように語りました。
(テープ)
「これはASEANの重要な一歩だと思います。加盟諸国は異なる政治体制を運営し、人権問題の受け止め方も異なります。1年間にわたり、協議を行った結果、加盟諸国は西洋諸国の人権に関する基準を遵守する一方、地域の多様な問題に配慮するという点で一致しました。人権宣言は共通の基準を明確に規定しますが、それぞれの加盟国の基準と法律を尊重すべきであると強調しました。これは交渉の成功です」
ミン局長はこのように語りました。
今年、ASEANは連携・連結を効果的に進めるとともに、域外のパートナーとの協力を拡大し、アメリカ、及びインドとの戦略的パートナー関係の構築が図られました。一方、パートナーの国々はASEANとの具体的な協力計画を提案しました。日本は今後3年にメコン川流域諸国のインフラ整備に5千億円の援助を公約しました。中国はASEAN・中国連携委員会の設立を提案し、ASEAN・中国共同協力基金に500万ドルを融資しました。韓国はASEAN連携構想の実施に1千万ドルを援助し、また、EU=欧州連合は2012年から2016年の期間に1500万ユーロの援助を決定しました。これはASEANの協調、多様性の中の統一、平和、安定、協力に向けての努力を見極めた国際社会の高い評価を示しました。
2013年に入り、ASEANはこれらの基本的な原則を堅持し、存在感と独自性を高めることでしょう。