26日、BRICS＝ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興５カ国首脳会議が27日までの日程で、南アフリカ東部のダーバンで開幕しました。BRICSは、この5年間の迅速な発展や、日増しに高まってきた影響力などで、世界の注目を集めています。

25日、UNCTAD＝国連貿易開発会議はBRICS首脳会議を前に、BRICSの海外直接投資に関する報告書を発表しました。2012年の5カ国からの総投資額は推計1260億ドルと世界全体の約9％を占め、シェアは10年前から9倍に拡大したことが明らかになった先進国の景気が低迷する中、BRICSが世界経済における存在感を強めている姿を改めて裏付けました。また、昨年の5カ国からの投資額合計のうち54％を中国が、40％をロシアが占めたということです。

こうした中、BRICSは経済力と影響力を強化する計画です。今回の首脳会議で、発展途上国のインフラ整備などを援助する「BRICS開発銀行」の発足を決定する予定です。BRICS開発銀行は昨年3月、ニューデリーで開かれた前回首脳会議では発足の検討が決まりました。加盟各国が出資し、発展途上国の開発事業に対し資金融資を行う計画です。同銀行の資金については500億ドル規模が検討されているということです。

また、5カ国は、金融危機などの緊急時に活用できる外貨準備の共同基金の創設も検討しており、会議の焦点の一つになっています。これらの計画が具体化すれば、従来、WB＝世界銀行やIMF＝国際通貨基金が担ってきた欧米型の途上国援助の枠組みや金融システムが変わる可能性も指摘されています。

2012年のBRICSの指導者ら

経済だけでなく、政治と国際諸問題の解決の面でも、BRICSの影響力も日増しに拡大しています。ロシアのプーチン大統領は、BRICS首脳会議を控え、イタルタス通信のインタビューに答え、「BRICSの役割を拡大し、地政学上の問題にも対応すべきだ」との認識を示しました。同大統領によりますと、BRICSはシリア、アフガニスタン、イラン、中東情勢などについて共同宣言を準備しています。

大統領は「BRICSを限られた問題への対応を調整する対話の場から、国際政治の主要問題の解決策を探る本格的な戦略協力メカニズムに徐々に変えていくことを提案する」と述べました。

創立以来5年しか経たないものの、BRICSは国際社会において重要な役割を示しています。今後も、加盟諸国は連携を強化し、世界の経済、政治などの問題の解決プロセスに寄与すると期待されています。