
ポーランドの首都ワルシャワで開催されている、COP19第19回国連気候変動枠組条約締約国会議、及びCMP9第9回京都議定書締約国会議の1週目が終了しました。会議では、2020年までに各国に意味ある温暖化対策を進めさせることと、それに2015年に合意する予定の2020年以降の新しい温暖化対策の条約を制定する事が討議されています。
しかし会議の進展は、期待通り結果を収めないと予測されています。
これまでのCOP会議は緊張した背景の中で開催されていました。それぞれの参加国が自国利益の保護を主張しており、排気ガスの削減問題を巡る共通声明を達成できなかった事が容易に分かりました。会議の焦点の一つである途上国への資金支援をめぐり、途上国側が先進国に中期目標の明示を求めていることが分かりました。途上国への資金支援をめぐっては、2009年のCOP15で、先進国全体で20年までに官民合わせ年間1000億ドルを途上国に供与するとの長期目標が決まりました。途上国側は長期目標の実現に向け、「16年に700億ドル」といった中期目標を設けるよう、先進国に働き掛けているということです。
日本は先週、2020年までの二酸化炭素の削減目標を、以前掲げた「1990年比25%減」から「2005年比3.8%減」に修正しました。90年比では3%増となります。目標の後退は、ポーランド・ワルシャワで開幕した会議で発表され、大きな批判を浴びました。しかし、日本は不可避な事態を受け入れただけでした。福島第1原子力発電所の事故で全国の原発を停止し、火力発電所への切り替えを余儀なくされる前から、日本は削減目標を実現するすべを持ち合わせていなかったということです。
また、オーストラリアからも従来からの削減目標を最低限の5%に留めるというニュースが国内から聞こえてくるなど、交渉全体へ非常に悪い影響を与えています。
それでなくとも、産業革命前に比べて2度未満に抑えるにはまったく足りない2020年の各国の目標を、いかに引き上げていけるかを議論していく最中に、さらに目標を引き下げるこれらの発表は、1週目の交渉に暗い影を投げかけました。
国際的な取り組みで注力すべきは、実現方法を誰も知らないような目標を引き出すことではなく、環境破壊をせずに人々の欲望に対応する方法を編み出すことです。
国連の気候変動交渉に懐疑的になることは、気候変動の脅威が現実であり差し迫ったものであるという科学的合意を疑うこととは違います。しかし、この問題は空虚な文言を並べても解決できません。20年間に及ぶ不毛な交渉に代わる新たなアプローチが必要です。