EUの将来像を決める欧州各国選挙


フランス大統領選の第1回投票が23日、即日開票され、EU欧州連合の結合を支持するエマニュエル・マクロン氏と、EU離脱を訴えるマリーヌ・ルペン氏が1位と2位を占め、5月7日の決選投票進出を決めました。オランダ、ドイツ、イタリアの各選挙に加えて、今回のフランス大統領選はEUの将来像を決めるものだとみられています。

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マクロン氏(左)とルペン氏(右)(写真:AFP/TTXVN)

ポピュリズムか反ポピュリズムか

金融危機、高い失業率、難民危機などに直面している欧州では、一般大衆の不安や恐れを利用して生まれたポピュリズムが流行っています。そのため、欧州各国で行われた各種選挙はポピュリズムと反ポピュリズムとの戦いであると例えられています。

フランス大統領選では、極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首と中道系独立候補のマクロン前経済相が決選投票に進むことになりました。マクロン候補はグローバリゼーションや移民受け入れ、EUへの支持という、最近の潮流に反するような政策を打ち出して成功を収めました。一方、ルペン候補は、フランスのEU離脱構想を示し、移民受け入れを規制すると公約しています。

第1回投票では、マクロン氏は1位に立っているものの、決選投票では優位に立つとは言えません。2位のルペン氏との格差はわずか2%ですから。最多得票率にはならず、それでもルペン氏が決選投票に進出するのは、極右政党・国民戦線にとって歴史的瞬間です。

そして、「反EU」を掲げているルペン氏に加え、極左系選挙連合のメランション候補がおよそ20%の票を獲得したことから、「反EU」票は合わせると4割強に達しました。主要候補以外を含めると約5割がEUに「ノー」をつきつけた格好です。欧州の広がる「反EU」機運の勢いを改めて浮き彫りにした面もあります。

一方、イタリア、オランダ、ドイツなどでも、「反EU」ムードが台頭しており、極右派が勢いを増しているのが現実です。

EUの将来像はどうなる?

失業率が高まりつつあり、金融不安も依然くすぶるなど経済停滞ムードが広がっているのに加え、移民問題が根本的に解決されてないEU加盟各国では、不満が「反EU」を勢いづいています。5月7日のフランス大統領選の決選投票に加え、6月8日のイギリス総選挙、9月にはドイツ連邦議会選と大型選挙が相次ぎます。これらの選挙で、「反EU」を掲げている極右派が勢いを増す恐れがあります。

もし、フランス大統領選の決選投票で、ルペン氏が勝てば、「反EU」の津波がEU全体に広がるのは確実です。その意味で、フランス大統領選の決戦投票は、「欧州を賭けた決闘」になるでしょう。


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