既にお伝えしましたように、10日と11日の両日、日本の広島で、G7=主要7カ国外相会議が行われました。これは、主催国日本が全世界に核兵器のない世界及び世界の平和・安定を脅かす一方的な行動への反対に関するメッセージを送るためのチャンスと見られました。
G7外相らが平和記念公園で原爆死没者慰霊碑に献花
(写真:nghiathuc.wordpress.com)
会議で、参加者らは「広島宣言」を発表し、その中で、世界の非核化のための努力を再確認するとともに、トルコや、フランスなどで発生したテロ攻撃、朝鮮民主主義人民共和国の核開発、海上での現状を変化させるための一方的な行動に対する非難を強調しました。
核兵器のない世界に関するメッセージ
G7外相会合が10日、広島市で開幕し、テロ対策や難民支援などを巡って協議しました。11日には議論の成果をまとめた共同声明と世界の指導者に被爆地訪問を促す「広島宣言」などを発表しました。
G7外相らが市内の平和記念公園で原爆死没者慰霊碑に献花したあと取りまとめた広島宣言は、「国際的な安定を推進する形で、全ての人にとってより安全な世界を追求し、核兵器のない世界に向けた環境を醸成するとのコミットメントを再確認する」と強調するほか、「この課題はシリアや、ウクライナ、とりわけ挑発を繰り返す朝鮮民主主義人民共和国など多くの地域の安全保障環境の悪化によって一層複雑となっている」とも言及しました。
一方、共同声明では、アメリカ主導の有志連合がイラクとシリアで行っているイスラム過激派組織IS=イスラム国との戦いに対する支援を「強化・加速する」と確約しました。さらに、「テロリズムは世界の安全保障上の喫緊の脅威であり、国際的な協調と結束した対応が必要だ」とし、G7としてテロ対策行動計画を作成する方針を表明しました。
海上での一方的な行動への反対
特に、最近エスカレートしているアジア地域内の領海紛争問題も主要議題となりました。G7外相らは11日、領有権をめぐり中国がフィリピンや、ベトナム、日本などと対立するベトナム東部海域(いわゆる南シナ海)および東シナ海での挑発行為に強く反対すると表明しました。「われわれは現状を変え、緊張を高める可能性のある威圧的で挑発的な一方的行為に強い反対を表明する」との声明を発表しました。
また、中国とフィリピンの領有権争いを念頭に、各国に対し、国際海事法を順守し、裁判所の判断に従うよう求めました。声明の中で、直接の名指しは避けながらも、中国が海上で海洋進出の動きを活発化させていることにG7として懸念を共有するとしたうえで、大規模な埋め立てや軍事拠点化の動きを自制するよう求めています。
G7は世界の政治、経済などでけん引役を担っています。今回の外相会議の動きとメッセージもそれを示しています。こうした中、国際世論は、今後もG7が世界の平和、安定、繁栄のために具体的な措置をとるよう期待しています。