アゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突


旧ソ連構成国のアゼルバイジャンとアルメニアが領有権を争うナゴルノカラバフで起きた両国の軍事衝突に関して、アゼルバイジャンとアルメニア系独立派は5日、即時停戦で合意しました。しかし、民族・宗教面での矛盾、外部からの干渉などから見れば、欧州全域にマイナス影響を及ぼす恐れがあるこの衝突が徹底的に解決できるかがまだ予断できないと懸念されています。


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アゼルバイジャン側を狙うアルメニアの大砲(写真:ロイター)

この停戦合意は現地時間4月5日の昼間から発効されました。2日に勃発したこの衝突により、一般人を含めおよそ90人が死亡、数百人が負傷しました。そして、衝突が再燃する可能性もあります。


過去の原因

ナゴルノカラバフはアゼルバイジャン領内にありますが、ソ連が崩壊した1991年にアルメニア系住民が独立を宣言し、アゼルバイジャン、アルメニア両軍の間で紛争が起きました。ロシアの仲介で1994年に停戦合意した後も、小規模な衝突が散発的に続いていましたが、今回の衝突は、停戦合意後、最悪の事態となっています。

ナゴルノカラバフ問題ではこれまで、アメリカ、ロシア、フランスが共同議長を務めるOSCE=全欧安保協力機構の「ミンスク・グループ」が平和解決を目指してきました。

同地域は原油やガスを世界市場に供給するパイプラインの通り道となっており、複数の欧州諸国が地域の不安定化を懸念し、停戦を求めていました。こうした中、ロシアは今回も同グループを主体に紛争拡大防止を図りたい考えです。


問題点

この衝突には多くの国が関与していますが、その中で、ロシアとトルコがあります。ロシアはアルメニア、トルコはアゼルバイジャンの後ろ盾です。ロシア国内で、「トルコ陰謀論」がささやかれています。シリア内戦で対トルコ関係が悪化する中、陰謀論はロシア人には分かりやすく、支持されています。

トルコの関与を明示する具体的根拠はありませんが、トルコのエルドアン大統領が2日、アゼルバイジャンのアリエフ大統領に直ちに電話で、「支持と連帯の意」を伝えると、ロシア国内で陰謀説に火が付きました。

インタファクス通信によりますと、ロシア軍のある退役将官は、軍事衝突はロシアを紛争に巻き込むためのトルコの陰謀だと主張し、「アゼルバイジャンの背後にはトルコが、トルコの背後にはNATO=北大西洋条約機構がいる。軍事的解決は危険で、外交的に解決すべきだ」と警告しました。

今回の衝突で、当事者は5日、停戦合意を達成しましたが、住民組織はその後、アゼルバイジャン側から戦車や迫撃砲による攻撃を受けたと主張しています。アゼルバイジャンは6日、停戦違反を否定する一方、相手側の攻撃を主張するなど、不安定な情勢が続いています。



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