アフガニスタンでの同時多発テロ

この数日、首都カブールなど、アフガニスタン各地で大規模なテロ攻撃が連続的に発生しました。15日に引き続き、16日午前にも、現地の日本大使館にロケット弾が撃ち込まれました。一連の襲撃について、反政府武装勢力タリバンが犯行声明を出し、アメリカ軍兵士がコーランを焼却した事件や、市民17人を射殺した事件への報復だとしています。

アフガニスタン内務省の報道官は16日、戦闘開始から約18時間後に治安部隊が襲撃グループを制圧したと発表しました。ISAF=国際治安支援部隊のアレン司令官は15日、「アフガニスタン治安部隊がカブールでの襲撃で、いかに迅速に対応したかということを大変誇りに思う」との声明を発表し、2014年末までに全土でアフガニスタン側に治安権限を移譲するのに備え、アフガニスタン治安部隊が能力を向上させていると強調しました。

アフガニスタンでの同時多発テロ - ảnh 1

戦闘に勝利したアフガニスタン部隊が称賛されたものの、首都の拠点施設が被害を受けたことで、アメリカなどが描くアフガニスタンからの出口戦略に改めて暗雲が()()めた形になりました。AP通信などによりますと、カブールと別の3州での戦闘で、襲撃犯36人が殺害され、アフガン警官や市民計11人が死亡しました。

こうした中、国連安全保障理事会は16日、タリバンが首都カブールなど各地を襲撃した同時テロについて、「最も強い言葉で非難する」とし、被害者を(いた)む報道陣向け声明を発表しました。声明はテロ実行者、首謀者、金銭面での支援者らに対して国際法と安保理決議に基づく裁きが必要だとしました。

アフガニスタンでの同時多発テロ - ảnh 2

一斉攻撃はアフガニスタン戦争開始から10年半後の今も治安が改善しない現実を内外に突き付けました。カルザイ政権は駐留外国軍の縮小に努めてきましたが、代わって治安維持にあたる同国軍や警察、情報機関の能力不足は深刻です。タリバンとの対話も暗礁に乗り上げており、雪解けシーズンに武装勢力が攻勢を強める事態も懸念されます。

アナリストらは「一斉攻撃は大統領選挙を秋に控えたアメリカのオバマ大統領にも悪影響を与える」とし、「これはアメリカとNATO=北大西洋条約機構のアフガニスタン政策の失敗を示すものだ」と指摘しています。さらに、「アフガニスタンが社会秩序と安定を取り戻すまではまだ遠い道のりだ」との見解を示しています。

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