すでにお伝えしましたように、17日、ブラジル大統領府は、NSA=アメリカ国家安全保障局がルセフ大統領の電子メールなどを傍受していたとの報道を受け、ルセフ氏のアメリカ訪問を延期すると発表しました。この決定はアメリカ・ブラジル関係にとって大きな試練となり、南米の経済大国ブラジルとの関係改善へ向けてのオバマ大統領の努力に直撃を与えました。
ロシアで開催されたG20サミットに出席したオバマ大統領とルセフ大統領
(写真:Congan.com.vn)
南米ブラジルのルセフ大統領は17日、10月に予定されていたホワイトハウス訪問の延期を発表しました。NSAがルセフ大統領の 電子メールなどを傍受していたことに対する反発が原因で事実上のキャンセルとなっています。
これにより、アメリカとと南米一の経済大国の関係冷却化が明白となったといえます。CIA=アメリカ中央情報局の元職員が暴露した情報によりますと、NSAはルセフ大統領が側近に送った電子メールの内容を盗み読み、ブラジル石油公社ペトロブラスのネットワークにもハッキングで侵入していました。アメリカは「テロ防止のためだった」と説明しましたが、ルセフ大 統領は「不法な盗聴行為は深刻な主権侵害で、友好国がする行為ではない」と激怒していました。
世界のインターネット検索の8割はグーグルなどアメリカ企業のサービスを利用しています。サイバー空間における 「アメリカ覇権の拡大」を危惧するブラジルのルセフ大統領は、今月の国連総会で、インターネットによる情報収集に対する国際規制の導入を提唱する方針です。
ブラジル政府は2014年末までにブラジル国内にサーバーを置く電子メールサービスを設立し、アメリカを経由せず、欧州や南米諸国と直接インターネット回線をつなぐ計画を打ち出しています。
ルセフ大統領は10月にホワイトハウスで開かれる晩さん会に国賓として招かれ、アメリカのボーイング製戦闘機購入の可能性やバイオ燃料利用の共同研究などについて、オバマ大統領と協議する予定でした。
こうした中、アナリストらは「この事件はアメリカに対する世界各国の信頼の低下につながっており、信頼挽回のためには、時間とアメリカ政府の厳粛な態度が必要とされる」との見方を出しています。