中国の習近平国家副主席は14日から5日間のアメリカ訪問を行っています。この訪問は米中間の経済関係強化のほか、両国の指導部間の信頼醸成、懸案処理なども目指すものとみられます。
習副主席とオバマ大統領
習副主席は訪米2日目の15日ワシントンでアメリカ議会を訪問し、上下両院議員らと相次いで会談しました。アメリカのオバマ、バイデンの正副大統領らも前日、個別に習氏と会談した際に、次の中国共産党のトップの座に就くとみられる同氏との友好的な関係の構築に意を用いながら、通商、経済政策などで事態改善を求めました。
これに対し習氏は、中国の政策を擁護し、中国の核心的利益である問題で中国の立場を尊重するよう要請しました。ただ、その一方で、同氏も米中の友好関係を深めたいと表明しました。習副主席はこの日まず、ベイナー下院議長、エリック・カンター下院共和党院内総務と会談しました。ベイナー下院議長は、中国が知的所有権に関する法規を執行していないことが「両国の経済関係緊密化の障害になっている」と指摘しました。カンター氏は、シリアの人権侵害の即時停止を求める国連安全保障理事会の決議案に中国が拒否権を発動したことなどについて触れました。
習副主席とバイデン副大統領との会見
また、イランの核開発阻止のための国際的な取り組みに中国も協 力するよう促しました。これらの会見後、習副主席は上院議員10人とも会談しました。会談はなごやかな雰囲気で生産的だったものの、議員側は人民元の為替操作などいくつかの問題で厳しい姿勢を示しました。
習副主席はまた、経済界の指導者ら約600人を集めた昼食会で講演し、両国間の経済関係緊密化がもたらす利益を強調しました。しかし同時に、「米中間の貿易不均衡是正のためにはアメリカが各種規制を撤廃するなど経済政策を調整することが重要だ」と述べ、ハイテク民生品に対する対中輸出規制の緩和を求めました。
このような中、国際世論は「この訪問は外交通例によるものに過ぎない。訪問後、米中関係における懸案が直ちに解決できるとは期待できない」との見方を示しています。