アメリカ大統領レースのヤマ場、「スーパーチューズデー」の結果が、ほぼ出そろいました。 共和党は、トランプ氏が、これまでの勢いそのまま、11州のうち、ジョージア、バージニアなど、これまでに7つの州で勝利を確実にしました。
(写真:ロイター)
一方、民主党は、ヒラリー・クリントン氏が、11州のうち、議員数が最も多いテキサス州、マサチューセッツ州など、7つの州で勝利を確実にしています。
3月1日の「スーパーチューズデー」で、共和党は政治経験のない実業家トランプ氏、民主党は初の女性米大統領を目指すクリントン前国務長官が党候補の指名獲得へ大きく近づきました。ともに独走態勢に入りつつあり、11月の本選は両氏の対決となる可能性が高まりました。
経験で勝つ
しかし、各報道機関の世論調査の結果によりますと、20年連続で政治家として活躍しているクリントン氏は好評を受けています。ニュース専門放送局MSNBCは調査結果を発表し、その中で、「有権者の80%は政治経験のある候補者を優先対象と見なしている」と明らかにしています。
一方、CNNと調査機関ORCによりますと、トランプ氏は民主党の2候補と本選で対戦した場合、いずれの候補者にも敗北する可能性が高いとしています。トランプ氏は共和党候補の1番手となっていますが、民主党候補者との仮想の対戦では、相手を上回る支持率は得られませんでした。相手がクリントン前国務長官の場合、クリントン氏の支持率は52%、トランプ氏は44%でした。
相手がバーニー・サンダース上院議員の場合、サンダース氏の支持率は55%でトランプ氏は43%でした。一方、共和党からの指名獲得を目指すテッド・クルーズ上院議員やマルコ・ルビオ上院議員の場合、クリントン氏との対戦だと、わずかに優位に立っているということです。
今後の局面
ニューヨーク・タイムズ紙の集計によりますと、現時点での代議員獲得数は、クリントン氏が527人、サンダース氏が325人です。民主党の指名を獲得するには、2383人の代議員獲得が必要になります。こうした中、候補者らは神経戦を展開し始めました。
「スーパーチューズデー」の結果を受け、クリントン氏は早速、不法移民対策などでメキシコとの国境沿いに壁を築くことを提唱したトランプ氏を厳しく批判しました。クリントン氏は、マイアミでの集会で「今回の選挙の意味は、かつてないほど大きい。相手方の主張がこれほどまでに低レベルだったことはない」と強調し、「アメリカの分裂を図ろうとするのは間違っている」と語気を強めました。
そして、トランプ氏の政策に関して、共和党内の一部からも、弁舌に頼りすぎている一方で、「政策は曖昧」との批判が出ています。
こうした中、アナリストらは「クリントン氏とトランプ氏がそれぞれの党の指名を獲得し、本選挙で戦った場合、接戦となり、誰が大統領に当選するかはまだ判断できない」と指摘しています。