イエメン和平交渉難航


国連の仲介によってクウェートで行われたイエメン和平交渉が打ち切られる可能性があります。イエメン暫定政府側は7月31日、1年以上に及ぶ武力紛争の終結に向けて国連が提示した和平案を受け入れると表明しましたが、イエメンのイスラム教シーア派系の反政府武装勢力「フーシ派」は国連の和平案を拒否したのです。

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国連のアフメド特使

イエメン内戦 打開できるか

イエメンでは、いわゆる「アラブの春」に伴い、長期独裁政権が崩壊し、
その後就任したハディ大統領が、新憲法を制定する作業を進めました。
ところが、イスラム教シーア派の反体制派が、憲法草案の内容に不満を募らせ、
2015年2月、首都サヌアを武力で制圧しました。

これに対し、サウジアラビアをはじめとするアラブ諸国が、ハディ政権を支援するため武力介入し、激しい内戦に陥ったのです。サウジアラビアは、ペルシャ湾岸の覇権を争うライバルのイランが、イエメンの反体制派を支援していると見て、イランの影響力拡大を抑えたいと考えています。

それは、この内戦が、ハディ政権と反体制派による国内の戦いにとどまらず、
地域大国であるサウジアラビアとイランを後ろ盾にした「代理戦争」の側面もあると見られています。

後ろ盾のサウジアラビアとイランが1月以来、国交を断絶しているため、国連のアフメド特使の仲介が、和平のカギを握ります。イエメンの内戦では、これまでに6000人以上が死亡し、200万人が栄養失調に陥るなど、深刻な人道危機が広がっています。そればかりか、このままでは、イエメンという国自体が崩壊する恐れがあります。

和平交渉 亀裂?

今回の和解交渉に臨んでいたイエメン暫定政府の代表団は、フーシ派および同派と同盟関係にある勢力が国家を治める評議会を樹立すると発表したことを受け、クウェートから30日に帰国する考えを表明していました。

フーシ派と、アリ・アブドラ・サレハ前大統領率いる国民全体会議は7月28日、10人から成る「最高政治評議会」を設立することを発表しました。声明によりますと、同評議会は、「政治的、軍事的、経済的、行政的、社会的に、また安全保障の面でも国政を担う」としています。さらに、「フーシ派」が国連の和平案を拒否したことは今回の和平交渉の亀裂を示すのではないかと見られています。

今年4月以降、クウェートで国連を介して行われてきた両代表団の和平交渉は難航しています。議論の大半は、どのような形態の暫定政権がイエメンの国家運営を担うのかという問題について行われましたが、なかなか最終の解決策を見出すことは出来ません。


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