(VOVWORLD) - 14日、ベルギーの首都ブリュッセルで、今年の最後となるEU=欧州連合の首脳会議が開幕しました。今回の会議では、先週末に達成されたイギリスのEU離脱に関する双方間の合意が採択される見通しです。
これは、イギリスとEUの交渉が次の段階に進むための基礎となります。そして、来年初めにイギリスの離脱に関する条約案が発表されることが期待されています。
ジャン=クロード・ユンケルEC委員長とメイ英首相 (写真:THX) |
EUの1973年リスボン条約によりますと、イギリスの離脱は少なくとも2年間かかります。これまで、双方は数回にわたり交渉を行ってきましたが、期待通りの結果を収められていません。
交渉の重要な進展
こうした中、先週末、ブリュッセルで、イギリスのメイ首相とEU行政トップのユンケル欧州委員長は会談し、主要課題で大筋合意に達したと発表しました。欧州委員会は同日、EU各国に「十分な進展があった」と報告しました。交渉では、未払い分担金などの精算を巡る「手切れ金」問題や、在イギリスのEU市民の法的保護、イギリスの隣国アイルランドとの国境管理が主要課題となりました。
EUへの分担金については、すでに編成された2020年までのEU予算の割り当てをイギリスが支払うことなどが盛り込まれていますが、その計算方法のほかEUや関連機関の職員の年金などの分担については今後も検討が必要だとしています。
国民の権利に関して、離脱後にEU加盟国の国民やイギリスの国民が、相手側の土地に残った場合でも現状の権利を維持できるほか、現在、同居していない家族も同様の権利を行使して入国したり居住したりできるとしています。また、離脱後に生まれた子どもについても同様の権利を持つとしています。
また、大きな懸案となったアイルランドとの国境の管理については、現状を維持して検問所などを設けないようにするとしています。
これを受け、欧州議会は加盟諸国の首脳らに対し、交渉の第2段階を開始させるよう促しています。しかし、第2段階も容易ではないと予想されています。
問題山積
アナリストらは、「交渉は今後、離脱後の双方の関係を話し合う第2段階に移る見通しとなったが、難航していた点については事実上、結論が先送りされたほか、今後の交渉でも意見の隔たりがあるものとみられ、厳しい交渉が続くもの」と指摘しています。
交渉が始まる離脱後の関係をめぐっても、イギリスとEUがどのような条件で自由貿易協定を結ぶかなどで意見の隔たりがあり、難航すると予測されています。
加えて、イギリス下院は13日夜、同国とEUとの最終的な合意にはイギリス議会の承認が必要だと離脱関連法案に明記する修正案を可決しました。これもスムーズな離脱を妨げるものとなると懸念されています。
計画によりますと、イギリスは2019年3月末でEUを離脱します。したがって、双方は交渉を加速させなければなりません。今回の基本合意がEU各国の首脳に承認されれば、難航していた離脱交渉はひとまず前進しますが、積み残しとなっている課題も多く、今後の交渉にブレーキをかける可能性もはらんでいます。