イタリアの新内閣

信用不安の払拭に向けて政治の安定が急がれるイタリアで、新しい首相に指名されたマリオ・モンティ氏は、閣僚名簿を発表し、新内閣は、政治家が入閣しない専門家からなる内閣となりました。モンティ新内閣は16日、日本時間の17日未明、宣誓式に臨み、発足することになりました。

イタリアでは、財政再建の取り組みの遅れを批判されたベルルスコーニ前首相の辞任を受けて、著名な経済学者のモンティ氏が新しい首相に指名されました。人事や政策を巡る各党との協議を終えたモンティ氏は、16日、大統領府でナポリターノ大統領と会談し、このあと閣僚名簿を発表しました。それによりますと、新内閣には政治家は入閣せず、専門家からなる内閣となりました。モンティ新首相は、財務相と経済相を兼任し、最大の課題となる財政の立て直しに、みずから陣頭指揮を()る体制にしています。新内閣の陣容についてモンティ氏は、記者会見で「政治家が入閣を望まなかった。最終的に閣内に政治家がいないほうが、仕事がしやすいと結論づけた」と述べたうえで、財政再建に向けて必要な対策を国民にその理由を説明しながら着実に実施していく考えを示しました。またイタリアに対する信用不安が深刻化していることについて、「新内閣の発足が市場を落ち着かせることにつながるよう期待する」と述べました。

現地報道によりますと、モンティ氏は当初、選挙を経ていない実務者の内閣という批判を避けるため、ベルルスコーニ氏率いる与党・自由国民と最大野党・民主党から、実力者を入閣させる意向でした。

しかし、国民に痛みを()いる政策の実行が義務付けられた新政権に対し、両党は距離を置く姿勢を示しました。前政権で官房長官を務めていたレッタ氏の再入閣が一時浮上しましたが、ベルルスコーニ色が強まることに民主党が反対しました。モンティ氏は「政治家の不在はむしろ、内閣の結束のためになる」と述べましたが、議会運営などで、どこまで両党の協力を得られるかが焦点となります。

また、ベルルスコーニ氏は退陣表明後、「いつでも新内閣のコンセントを抜くことができる」と発言し、新政権に、同氏の強い影響力が残る恐れもあります。

イタリア北部の地域政党で、連立与党に加わっていた北部同盟は、野党になることを表明し、新内閣は「挙国一致」のイメージを失っていました。

モンティ氏は新首相指名からわずか3日で組閣を完了しました。青年団体や女性団体の意見を聞くなど精力的に新政権づくりを進めてきました。しかし、この間、イタリア国債の利回(りまわ)りが危険水域とされる7%を再び突破するなど、新内閣の危機克服能力に市場が疑問を持っていることも鮮明になりました。新内閣は緊張の中の船出を強いられます。
アイン・フェン

 

 

 

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