イラクで23日、20数カ所に上る都市や町で、一般市民と兵士、警官を狙った爆弾テロと銃撃があり、多くの死傷者が出て、イラク治安部隊に対する1年以上ぶりの大規模な攻撃となりました。アルカイダ系の組織がシーア派からなる政府への攻撃を警告していました。 23日夜に死者は少なくとも91人、負傷者は318人に上りました。
イラクで多数派であるイスラム教シーア派は21日にラマダン断食月に入りました。23日の攻撃はバグダッドなどのシーア派地区とバグダッドの北にある石油資源の豊富な地域の軍と警察を狙ったものです。この地域はここ何年間か、宗派と民族の緊張関係で混乱状態にあります。
バグダッドのサドルシティーやその郊外の町タジ、それにディワニヤなどのシーア派地区では、ラマダンの買い物で混雑したマーケットに置かれた自動車爆弾が爆発し、数十人が死傷しました。また、イラク軍第4師団の2つの駐屯地に対して、数台の車に乗った男らがロケット弾や手榴弾を撃ち込みました。
キルクークの主要な病院によりますと、この攻撃で銃撃戦となり、少なくとも16人のイラク兵士が死亡しました。 地方警察組織の指揮官によれば、キルクークとその周辺では警察車両を狙った8件の自動車爆弾が爆発し、少なくとも9人が死亡し、32人が負傷しました。また、シリアとの国境に近い、スンニ派の多い都市モスルでも、軍と警察を狙った2件の自動車爆弾事件があり、少なくとも7人が死亡しました。
シリア の反政府勢力がイラクとの国境にある3カ所の検問所のうち2つを占拠したことから、イラク政府は国境の警備を強化しました。イラク政府は、宗派間対立が表出したシリアの内戦がイラクに影響するのを極度に恐れています。
一方、 国際テロ組織アルカイダ系のある組織の指導者はサイト上に声明を出し、「闘争の新たな局面」に入り、「お前たちの権力の座を揺るがす」とイラク政府に警告していました。
こうした中、国際世論は「イラク国民が平穏な日々を取り戻すことは遠い将来だ」との懸念を示しています。