イラク首相のアメリカ訪問

 

イラクのマリキ首相は3日間にわたりアメリカを訪問しています。イラクの治安状況が悪化している背景の中で行われる同首相の今回のアメリカ訪問はテロとの戦いに対するアメリカの支援を呼びかけることが狙いと見られます。しかし、これは逆の効果をもたらすとの懸念も出ています。


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マリキ首相(写真:rudaw)

最近、イラク治安状況は悪化しており、テロ事件が頻発し、死傷者多数が出ています。イラクの首都バグダッドや北部都市モスルなどで27日に発生した連続テロの死者は全土で少なくとも61人に達しました。10月に入ってからの暴力による死者数は650人、今年に入ってからの死者数は5350人を超えています。

一方、国連の統計によりますと、今年1月から9月までに、テロ攻撃で、一般人6000人以上が死亡、1万4000人以上が負傷したということです。

こうした中、治安回復はマリキ政権の差し迫った問題で、難題ともなっています。マリキ首相は訪米の際に、11月1日にアメリカのオバマ大統領と会談し、軍用機材や兵器などを支援するよう求める予定です。

これに先立ち、30日、訪米中のイラクのマリキ首相はアメリカのバイデン副大統領と会談し、席上、バイデン副大統領はイラク国内で活動する国際テロ組織アルカーイダ系の武装勢力に対抗するための武器供与などを通じた支援を行う方針を伝えました。

また、バイデン氏とマリキ氏はクルド自治政府との対立解消の重要性や、トルコ、クウェート、ヨルダンなど周辺国との協調関係の進展についても協議しました。

アメリカ政府高官によりますと、武器供与はイラクの要請に基づくもので、議会との調整を進めています。武器供与のほか、防空システムの導入も検討されているということです。アメリカメディアは「イラクがアメリカ製の攻撃ヘリコプター=アパッチの購入を求めている」とも報じました。

しかし、アメリカの政治家らは不満を示しています。ジョン・マケインや、リンドセイ・グラハム、カール・レビンなどの上院議員らはオバマ大統領に書簡を送り、その中、イラク状況に深い懸念を示し、「マリキ首相の指導はイラク国内の民族紛争を引き起こしている」と指定しました。

アナリストらは、「最近イラク政府はテロ掃討作戦を強化しているが、これは一時的な方策に過ぎない」と指摘した上で、「イラクの治安回復のために、長期的な対策が必要とされ、その中で、外国の介入・干渉は不要だけでなく、状況を複雑化させるものともなる」との懸念を示しています。

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