イラン核問題をめぐる歴史的合意


イランと欧米など6カ国は24日未明、ジュネーブでのイラン核問題をめぐる協議で歴史的な合意に達しました。イランがウラン濃縮活動を制限する見返りに、経済制裁が一部緩和され、イランと西側の対立解消に向けた第一歩となる可能性があります。

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今回の協議は、イラン核問題をめぐる過去数十年にわたる緊張と対立を和らげることを目的に、イランとアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、中国、ロシアの6カ国の間で行われていました。

合意内容によりますと、イランは濃度5%超の高濃縮ウランの製造を停止し、現在保有する高濃縮ウランは濃度を下げて6カ月以内に保有量をゼロにします。さらにプルトニウムの抽出が懸念される西部アラクの重水炉建設を凍結し、主要核関連施設への査察を全面的に受け入れます。

一方、欧米各国はイランの在外金融資産のうち42億ドルの凍結を解除し、15億ドルの収入に相当する金などの貴金属や自動車関連産業の禁輸を一部緩和します。また、6カ月間は新たな制裁を科しません。

イランのロウハニ大統領は24日、イラン核問題をめぐる欧米側との合意を歓迎し、合意内容が全面的なウラン濃縮活動の停止を求めていないことを念頭に「核開発の権利や濃縮活動の継続を認めるものだ」と評価しました。

また、6カ国の窓口役を務めたEU欧州連合のアシュトン外交安全保障上級代表は、今回の合意により、包括的解決への協議に向けた時間的余裕ができたと総括しました。アメリカのオバマ大統領もホワイトハウスで、イラン核問題の包括的解決に向けた重要な一歩だと評価しました。

この合意に対する喜びの意を表明すると共に、関係各国は今後の課題を十分に認識しています。イランのザリフ外相は、記者会見で「これは第一歩に過ぎない。信頼回復の方向、過去とは逆の方向に動き始める必要がある」と述べました。

今回の合意は核問題の全面解消に向けた3段階の「包括合意」のうち、今後6カ月を想定した「第1段階」という位置付けですから、欧米はイランが合意内容を守らなければ、一時的に緩和した経済制裁を再開する方針です。

一方、イランと敵対するイスラエルのネタニヤフ首相は24日の閣議で「歴史的な過ちだ」と批判すると共に「イランが核兵器を開発することを許さない」と強調しました。「いかなる脅威に対しても自衛の権利と義務がある」と述べ、あらためて武力行使の可能性を示唆しました。

イランと欧米など6カ国が今回達成した歴史的な合意はイランの核問題の解決に関する全面的な条約の締結に重要な意義があることは間違いないでしょう。

 

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