ウクライナ情勢


 

反政権デモと警官隊の衝突が続いているウクライナで、最高会議(議会)がトゥルチノフ議長を大統領代行に選出し、ヤヌコビッチ政権が崩壊しました。

ウクライナ情勢 - ảnh 1

                                                                                    トゥルチノフ大統領代行


ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は24日の最高会議で、挙国一致内閣発足に向けた投票を25日にも実施できるとの見通しを示しました。また、トゥルチノフ氏は、国民向けにおこなったテレビ演説で「ウクライナの『欧州への選択』が優先事項だ」としました。

ロシアとは対話の用意があるとしながらも、ウクライナの選択を尊重しなければならないとし、ロシアとは「新しく対等な関係」を構築する考えを表明しました。首相の第1候補として取りざたされていたティモシェンコ氏は23日、これを否定し、「私を首相ポストの候補にしないよう求める」との声明を発表しています。

一方、ヤヌコビッチ氏は議会による大統領罷免を認めず、引き続き大統領であると主張した22日のテレビ演説以降も、引き続き所在が不明です。所属する「地域党」からも見放され、復活への道は、ほぼ完全に閉ざされました。

新政権が無事発足できるとしても、その命運は何よりも短時日のうちに国民の信頼を勝ち取れるかどうかにかかっています。前途には、破綻に瀕(ひん)した経済財政の立て直しという大きな課題が待ち受けています。

ウクライナの暫定政権は、350億ドル(約3兆5900億円)規模の金融支援が必要だと訴えています。同国の政権移行の正当性をロシアは疑問視していますが、アメリカとEU欧州連合は新政権への支援を表明しています。トゥルチノフ大統領代行は、ウクライナがデフォルト(債務不履行)を回避するために必要な経済支援を求めることができるよう迅速に動く姿勢を示しました。

一方、ロシアのシルアノフ財務相は23日、ウクライナのヤヌコビッチ政権が事実上崩壊したのを受け、昨年末に決めた同国向けの総額150億ドル(約1兆5千億円)の金融支援を当面中断する意向を表明しました。

G20=20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議の開催地シドニーで記者団に語りました。支援継続の是非の判断には「どのような政府ができるのか理解する必要がある」と語りました。

金融市場でウクライナによる債務返済への懸念が広がっています。アメリカ格付け会社S&P=スタンダード・アンド・プアーズは21日、「債務不履行(デフォルト)の可能性が高まった」と指摘しました。

このように、ウクライナは政治、経済、社会などあらゆる分野において困難に直面しています。これらの困難を解決するのはウクライナの新しい政権にとって簡単ではないでしょう。

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