ウクライナ情勢


ウクライナ東部ドネツク州のロシア系住民は12日、独立の是非を問う住民投票で「圧倒的多数」が賛成票を投じたとして、ロシア政府に同州を編入するよう要請しました。ドネツク州の親露派はこれに先立ち、11日に実施された住民投票の投票率は75%で、89%が分離独立に賛成したとの結果を発表していました。また同様の住民投票が行われた東部ルガンスク州の新ロシア派も、94%が独立に賛成したと発表しています。


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ウクライナ東部状況を討議するロ下院会議(写真:Infonet)

親ロシア派が樹立を宣言した「ドネツク人民共和国」の指導者を務めるデニス・プシリン氏は記者らに対し「われわれは『ドネツク人民共和国』のロシア連邦への編入を検討するよう、ロシア連邦に要請する」と表明しました。

さらに、治安回復には必要不可欠とみなされている今月25日の大統領選について、ドネツク州では「実施されない」と宣言しました。東部2州で行われた住民投票について、ウクライナ暫定政権は「恥ずべき茶番」と非難しました。

ウクライナ暫定政権のトゥルチノフ大統領代行は12日の声明で、「テロリストたちが住民投票と呼ぶあの茶番は、殺人や誘拐、暴力といった犯罪をごまかすため の宣伝工作にすぎない」として、東部にとって独立はウクライナの経済、社会政策から切り離されることを意味し、「自滅」への一歩になると警告しました。

北大西洋条約機構のラスムセン事務総長は同日、「違法」な住民投票に「効力はない」と述べ、「混乱した運営やあいまいな設問」を批判しました。重要なのは25日に予定されるウクライナ大統領選だと強調しました。欧米諸国からも批判の声が上がっています。

EU は12日、ウクライナ危機を巡る制裁対象に13人の人物とクリミアの企業2社を追加することを決めました。新たな対象の名前や制裁内容は発表されていませ んが、これまでにロシア政府や軍の幹部、ウクライナの親ロシア派活動家ら48人が資産凍結や渡航禁止の制裁を受けています。

一方、ロシア政府は住民投票の結果を歓迎し、「ドネツク、ルガンスク両州の住民の意思を尊重し、投票結果が分別ある方法で実現されることを望む」との声明を発表しました。ただ、東部2州の親露派と暫定政権との対話を呼び掛け、交渉による問題解決の可能性を残しました。

こうした中、ウクライナ外務省は「国内の統一を図るため、全ての当事者が参加した国民対話を行う用意がある」とする声明を発表しました。緊張緩和のため、全国規模の円卓会議を開催する方針を改めて示したもので、会議は14日にも開かれる見通しです。

ロシア政府は今年3月、同様の住民投票が実施されたウクライナ南部クリミア半島を迅速に編入しており、東部の2州でも同様の措置を取ることが懸念されていましたが、このロシア側の動きによって、その懸念は和らげられました。

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