エジプトの政情

エジプト最高憲法裁判所は10日夜、人民議会を再招集したモルシ大統領の大統領令を無効とし、再招集命令の効力を停止するとの判断を下しました。

同裁判所は大統領令を覆す権限を有し、議会再招集を命じた大統領令に抗議する人々から25件の訴えが提起されていたということです。軍最高評議会が先月、最高憲法裁の違憲判決に基づいて人民議会解散を命じましたが、大統領が8日にこれを覆し、10日午前に本会議を再開したばかりでした。旧体制を支えた最高憲法裁と民主化運動で誕生した大統領・議会との権力闘争が本格化してきました。

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エジプト国会議事堂

モルシ大統領の支持母体、穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は、判断を受け、最高憲法裁判事の交代を求めて提訴しました。同胞団の弁護士が政府系アルアハラム紙電子版に明かしました。大統領側はこれまで、最高憲法裁の下した違憲判決を批判することは避けてきましたが、同胞団の提訴を受けて方針転換する可能性も出てきました。

軍部の政治介入に抗議するカイロのタハリール広場でのデモに参加していたモルシ大統領支持者は、中東の衛星放送アルジャジーラの取材に「最高憲法裁が旧体制の手先である証拠だ」と非難しました。また、ムルシ大統領を支持する数百人のデモ隊がカイロの行政裁判所の周囲に集まりました。決定が1週間延期されるとの知らせを受け、デモ隊は平和的に解散しました。

こうした中、エジプトの大統領府は11日、これを「尊重する」とのムルシ大統領の声明を発表しました。ムルシ大統領は声明の中で「10日の憲法裁の判断が、議会がその責務を果たすことを禁じるというものであるならば、われわれはそれを尊重する。エジプトは裁判官と裁判制度を尊重する法治国家だからだ」と 述べました。また、「目下の危機を打開するために、今後もさまざまな政治的グループや司法当局と会う用意がある」としました。

国際世論はエジプトの現状からみれば、「今後の同国の政情が予断を許さない状態になる」との予想を出しています。

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